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オタク生活55年が語る若きクリエイターを”AWAKING"=覚醒させるヒント㊻

週末版 槇村さとる さんが生み出した2人のヒロイン
『愛のアランフェス』 森山亜季実の強烈な意思に惚れた日

さて、 週末版です。GW期間中と先週は『ウルトラセブン』だったり『ゴジラ』だったりも怪獣や、角川映画やTV『スケバン刑事』のネタが多かったので、この2日間は少女マンガについて語ります。
あまりにも有名な大河ドラマは別の機会にして、槇村さとる さんが生み出した2人のヒロイン=『愛のアランフェス』の森山亜季実と『ダンシング・ゼネレーション』の萩原愛子に恋した話をしたいと思います。

別冊マーガレットにおける『愛のアランフェス』の連載は1978年~1980年。連載時期の僕は、中学3年生から高校2年生で、さすがに中3から別マにはまっていたわけではないです。別マとの接触のきっかけは別の作品からでした。
1980年2月号。これが僕が初めて読んだ別マです。この号からスタートした『いつもポケットにショパン』(くらもちふさこ)を読みたくて、女子の友達か借りた別マ。しかし、それは『いつもポケットにショパン』の麻子への感情移入以上に(決して、嫌いじゃないですよ)、連載中だったフィギュアスケートを題材にした『愛のアランフェス』、そしてヒロイン・森山亜季実との衝撃の出会いをもたらしました。

衝撃。今、読み返しても衝撃の回。ネタバレをしたくなので、読んだ人なら解る言い方をすると、ヒロイン・亜季実がトレードマークだったロングヘアをバッサリ切る切っ掛けの回。“だれにもよりかからず ひとりになったことはないのか‼”“今あなたのことばがやっとわかった…‼”で終わる回です。(読んだ人なら、解りますよね。未読の方、これをきっかけに読むべし!電子書籍で1話無料を確認しました)

その頃の僕は(今は、転倒が怖いが…)スケート靴を履いて軽くバックで滑ったりすることが出来ていて、かつ今のようにメダルラッシュになるほどじゃないけど日本人スケーターも頑張っていたので、そこそこのフィギュアスケートファンでした。なので、初見で、何を描いているのかは理解。それだけに、そのドラマ性にぶち抜かれました
かつ、フィギュアスケートを描く抜群の画力(プロポーションもアクションポーズも、そしてライティングを意識した全体構成)もう、虜です。
一目で恋に落ちた僕が、最初を気にしないわけがなく、家の近くの古本屋で連載開始からの掲載号全てを購入。(ラッキーなことに当時の住居、大泉学園は漫画家の住居や東映動画があったおかげで、週刊,月刊マンガのバックナンバーが古本屋に揃っていました。それでも13冊。自転車に段ボールを括り付けて3往復したはずです。)
一気に前の部分を読み進めました。その日のうちに800ページ強を読んでしまったはず。そしてじっくり、絵の鑑賞も兼ねて再読したと思います。

もし、連載の一回目から読んでいたら“トリプルを飛べる無名の天才少女”の設定で有ったり、初期はかなり固い感じの少女マンガのタッチに対して、中3の僕であれば拒否反応が出た可能性があります。また、最初がコミックでの出会いだったら、物凄く良く描かれたフィギュアスケートの描写の価値に気づかなかったかもしれないです。

今、読み返しても、主人公たちの精神年齢は高い!(これ、槇村先生も22歳から描いてるんだよな。どんな精神年齢だ)連載時の年齢設定で、当時の僕よりも幼いロシア娘・イリーナですら、すげえ大人。(実際、トップアスリートの世界って、そうかもしれないが)主人公たちの自分への問いかけや自分に課す課題は、異常なまでにストイックです。同時期の少年マンガと比べると、哲学書なみにグイグイと生き様を語ってくる。(少女マンガは『エースをねらえ!』を筆頭に、人生語る作品は多かったかも。今、考えると、週刊マーガレットで『エースをねらえ!』第2部が同時期にスタートしたことによって、ドラマ部分が突っ込めたのかもしれないな。)
異性の主人公にも関わらず、ヒロイン・亜季実に感情移入すると同時に、ヒロインを愛する黒川貢にも感情移入するという状態(特に最終回一つ前の釧路再会編は、いまだ泣ける)で迎えた、4か月後の最終回
ペアスケーティングと男女の恋愛をストイックに追い続けた結果の、最高のラストスケーティング描写と言葉がいらないラスト1ページ。それは、まさに、現実の真駒内アリーナで生の演技を見て感動したかのような感動をくれました。

16歳で、大判の別マでの出会いをしたからこその『愛のアランフェス』に対する思い。数年前開催の“わたしのマーガレット展”で第一話の生原稿を見た瞬間 震えが止まらず涙ぐんだ私。相当、恥ずかしい存在だった と、同行した妻に言われてしまいました。ちなみに、1m左に動いて、別のヒロインを前に号泣するんですけどね。

派生作品である『白のファルーカ』も、当然、好きですが、どうしても、この森山・黒川ペアの強烈さにはかなわない。

電子書籍版もありますので、是非、はまってください。
さて、明日は、より惚れた萩原愛子in『ダンシング・ゼネレーション』『N・Yバード』です。

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