3:新しさを拒むのは
1歳のころのことを書こう。
ここまでは、私の記憶ではなく母の記録が頼りだ。
記憶 ではなく 記録。さりげなく 韻踏む歌詞。
なんとなく流れで書いたが、私はラッパーではない。
母の記録といっても、このあたりは写真くらいしか手もとに情報がない。それも現在のように、誰もがスマホという名のカメラを持ち歩いているような異常事態ではない。フィルムによる写真など、それほど数は多くないものだ。
父の使っていたカメラの、シャッターを切ったあとに自動で巻かれるフィルムの音をいまでも覚えている。