卒業前夜
タイトルからわかる通り、明日は私が4年間通った大学の卒業式がある。
あっという間の4年間だった。
高校の3年間よりもずっとずっと一瞬で過ぎ去ったような気がする。
歳を取るにつれて一年の体感速度が速くなるって本当なんだ。
私はさきほど、朝井リョウさん原作の「少女は卒業しない」を見に行ってきた。
廃校になる学校で卒業を迎える4人の少女がそれぞれが抱える悩みと向き合い、前に進んでいく物語だ。
原作も読んでいるので、話の大枠は知っていたけれど、何箇所か変更している部分もあって面白かった。
時折物語の中で行われる会話が卒業を明日に控える私に飛んできた。
「もうすぐ大学生になるって本当??」
「ずっと高校生でいられたらいいのに。」
「私は逃げてばっかりなんです。」
それらの言葉は簡単に自分ごとに置き換わった。
「もうすぐ社会人になるって本当??」
「ずっと大学生でいられたらいいのに。」
「私は逃げてばっかりなんです。」
大学生の私は卒業してしまえば、学生じゃなくなる。
社会人という次のステージに足を踏み入れることになる。
正直社会人になる覚悟なんて持ち合わせていないし、楽しみよりも圧倒的に不安の方が大きい。
映画を見てると、「卒業したくない、まだまだ学生でいたい。」という気持ちが爆発しそうになった。
それでも、スクリーン上の女子高生達は、卒業を前にして自分達を取り巻く色んなことと折り合いをつけようともがいている。
彼氏が事故死したことを乗り越えられないまなみ。
すれ違ったままの彼氏と最後くらいは笑って卒業しようと思っている後藤。
クラスに友達がいなくて、図書館にしか居場所がない作田。
一人一人が自分自身と向き合っている姿が私の胸を打った。
何度も何度も。
私は急に恥ずかしくなってきた。
「社会人が嫌だ」「働きたくない」とマイナス思考ばかりしている自分を。
物語が終わると時刻は23時半だった。
卒業式の日まであと30分だ。
卒業式を迎えたくないと思うのではなく、卒業式を最高の思い出にしそうと思い直し帰路に着いた。
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