2020年9月の記事一覧
遠くの雷、真夏の毛布
本、読んでも読んでもきりの良いところまで行かなくて結局読み切ってしまった午前4時。外はまだ全然明るくなくて、隣家のトタンに止みかけの雨が落ちる音がする。
いつまでも能天気でいるので、わたしだけ現実じゃないのかもしれないと時々錯覚する。
むかしすきだった人は結婚をしてもう子どももいるのかもしれなかった。
そういう、みんなの現実を、半透明のうすい膜の外からいつも眺めているような、そう思うときがある。
知らない街の美術館、無色のプリズム
どうしようもなく持て余してしまった夜、散歩に出かける。街はまだまだ働いている。巡回中のおまわりさんが道をゆずってくれた。
二ヶ月ごとの壁掛けカレンダーは、ページをめくるのは残すところあと一回で、夜、五分は一分のペースで時間が進む。
ポトスが土から水を吸い上げて、葉っぱから水が滴り落ちるのを見て泣き出しそうになる。
期待も興味もきりきりと私をむしばんで、眠るまでに何度も寝返りを打つ。私たちはひ