知らない街の美術館、無色のプリズム
どうしようもなく持て余してしまった夜、散歩に出かける。街はまだまだ働いている。巡回中のおまわりさんが道をゆずってくれた。
二ヶ月ごとの壁掛けカレンダーは、ページをめくるのは残すところあと一回で、夜、五分は一分のペースで時間が進む。
ポトスが土から水を吸い上げて、葉っぱから水が滴り落ちるのを見て泣き出しそうになる。
期待も興味もきりきりと私をむしばんで、眠るまでに何度も寝返りを打つ。私たちはひとりきりで生きている。
なつかしい人を思い出して、会いたくなってはどうしようも無い。私は宇宙の片隅にいる。
みんな会おうね。
そして、おいおい泣きながらハグをしよう。
それから乾杯をして、とびきりおいしいものを一緒に食べよう。
宇宙の片隅のよく陽のあたる場所で、歌をうたいながら。
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