当店ホッキョクグマの作者・伊藤佳美さんにインタビューしました
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当店ホッキョクグマの作者・伊藤佳美さんにインタビューしました

左ききの道具店のキャラクターとしてすっかりおなじみになったホッキョクグマ。これを描いてくださったのは、長野県諏訪市在住のアーティスト・伊藤佳美(いとうよしみ)さん。
偶然にも、伊藤さんも左利きということでつながった素敵なご縁です。伊藤さんのこれまでや、あのホッキョクグマのイラストが生まれたときのエピソードや「左ききの道具箱」のイラスト制作についてもお話を伺いました。


ー 最初は、左ききの道具店のロゴを作ってくださったデザイナー・なかさとゆうみさんからのご紹介でしたね。

彼女も私も青森県むつ市の出身で、高校の同級生なんです。幼なじみのような感じで卒業後もずっとつながっていて、東京でルームシェアをしていたこともあるんですよ。

ー 長いお付き合いなんですね。現在、伊藤さんは長野県諏訪市でアーティストとして活動されていますが、ここまでにどういった経緯があったのでしょうか。

グラフィックの専門学校を卒業してから、東京でデザイナーとして働いていましたが、2007年頃に絵を描く活動をメインにやっていこうと決めました。しばらくは他の仕事を掛け持ちしながらでしたが・・2016年には絵の仕事ほぼ1本になりましたね。

自分の住まいを持たずに、実家や家族の家など各地を渡り歩いて制作を行っていた時期もありました。道具やスキャナーも全部持ち運んで。その時に「どこでもできる」ということが、ストンとわかってしまったというか。腑に落ちたというような感覚でした。

そんな中、制作しながら気持ち良く暮らせる拠点を山梨あたりで探していたんですが、たまたま長野に移住者向けの公募企画を見つけたので応募しました。でも、その審査結果が出るまでにずいぶん期間があったので、待ちきれなくなって先に引っ越ししちゃいました(笑)。

(↑伊藤さんが撮影した諏訪の風景)

初めて諏訪を訪れたとき、せっかくだからと諏訪大社の4社巡り※をしたんです。下調べしていなかったので、歩いて気軽に周れる距離だと思っていたら、車でないとかなり大変というのを現地で初めて知りました。その話を社務所でなにげなくしたところ、話を聞いていたおじいちゃんが後から追いかけてきて「車で乗せていってあげるよ!」と声をかけてくれたんです。なんとその方、御朱印を書く係をなさっている方で、親切に4社すべて案内してくださいました。「こうして案内するのが夢だったんだよ〜」とニコニコしながらおっしゃっていたのを覚えています。
そんな1日の巡り合わせに、なんだかこの土地が「ようこそ」と言ってくれている気がして。それで、その日のうちに諏訪に住むことを決めました。

※諏訪大社は、諏訪湖周辺に上社本宮・上社前宮・下社春宮・下社秋宮の4つの境内地が点在している


ー スイスに何度か滞在されていたとお聞きしました。たしか、初めて当店のイラストをお願いした時もスイスにいらっしゃったんですよね。

スイスへは、以前パタゴニアで働いていた頃の縁で声をかけてもらって、毎年渡っています。今年でもう6回目になりますね。観光のハイシーズンに2ヶ月間ほど滞在して、主にハイキングや山歩きのツアーガイドをしています。

左ききの道具店のホッキョクグマは、スイス滞在中に急ぎのお仕事ということで依頼いただいたので、向こうで描きました。スキャナーを持って行っていなかったので、下書きや原画をスマホで撮っては、デザイナーのなかさととあれこれやり取りをしていましたよ。

(↑伊藤さんによるスイスの写真とイラスト)

ー そうだったんですね。ホッキョクグマを描いていただいたときのエピソードは何かありますか?

最初は、性別や生活感をあまり感じさせないように描きました。
ホッキョクグマは、イラストだと可愛くなりすぎてしまいがちなので、そうならないように注意して。一方で、動物の生々しさが出すぎると怖い感じになってしまうので、そのバランスに気をつかいましたね。

また、寒いところに住んでいる動物なので、脂肪はあるものの、丸っこくなりすぎないようにと、少ない線で表現しました。

ー のちに子グマも登場させてもらいましたが、その時はどうでしたか。

子グマを登場させるという話になった時、あらためて親グマを描き直しました。そのときにこのホッキョクグマ(親グマ)の性格というか、親らしさというか、魂のようなものが一気に吹き込まれた感じがしましたね。

子グマについても、ただ単に小さくするのではなく、どうしたら子供らしく見えるのか、仕草などを考えて描きました。



ー「左ききの道具箱」では、このホッキョクグマの親子が暮らしている風景を描いていただきました。

道具箱のイラストは、スイスで見た氷河を思い出しながら描きました。氷河では、氷の隙間に見えるブルーが本当に綺麗なんです。箱を開けた時、奥行きを感じてもらえるよう意識して構成しました。

それから、箱を組み立てる時の「のりしろ」なども考慮した構図にしないといけないので、単純な一枚絵とは違う難しさがありましたね。


ー 他の動物も登場させていただきましたね。

最初「他の動物、例えばペンギンなど・・」とご依頼いただいたのですが、北極にペンギンはいないので、「これはまずいぞ」と思い、デザイナーのなかさとを通じてそれをお伝えした次第です(笑)


ー それについては勉強不足で・・本当にお恥ずかしい限りです(笑)
 話は変わりますが、最近の伊藤さんの活動について聞かせてください。

今は、企業やお店からのお仕事よりも、自らプロジェクトを立ち上げて活動していることが多いですね。

毎年制作している「日めくりカレンダー」もその一つです。2019年版でもう4度目になりました。2020年版もすでに制作を始めています。(下の写真は2019年版)

伊藤さんの日めくりカレンダーについて:
365日、その日にちなんだイラストを伊藤さんが描き下ろした日めくりカレンダー。1日1組限定で、大切な人やお店の記念日など好きなテーマでイラストを描いてもらうことができる。原画展も開催予定。
※2020年版のイラストオーダーは締切済みですが、カレンダーの購入は可能です。左ききの道具店でも販売予定(10月中旬発売)。

また、2018年は絵の活動を始めて10周年にあたる年だったので、作品集を作りました。身のまわりの大切な人やトロ(愛犬)、大切なもの・ことを、もっと大切にしたいということを改めて考える機会になりました。


ー 伊藤さんがこれからやってみたいことは何ですか。

作品はいつも「自然」「文化」そして「楽しい」ことをテーマに制作を行っています。今は自分でも心地いいペースで作品づくりができているなと感じているので、今後もこのリズムで活動を続けていきたいと思っています。

最近は、自分の作品制作以外に、他の作家さんのサポートをしたいという気持ちが出てきて、ギャラリーを開くことを考えています。
自分が作家だからこそできる、作家に一番やさしいギャラリー。もちろん自分の作品を発表することもできますし、サポートする側にまわるときも、作る人がのびのびと作ったり飾ったりできる場として、そして皆に自由に楽しんでもらえる場として、育てていけたらと思います。絵って、この先もなくなることはない、これからもずっと続いていくものなので。

私個人としては、絵が生活の中心になり各地を渡り歩いていた頃から、「外と中の境目がない生活」というのを自分の理想としてぼんやり思い描いていました。今はまだそれに向かう途中、練習という感じですね。ギャラリーという場を持つことで、またそこに一歩近づけるといいなと思っています。

それから、スイスへ渡るようになってからというもの、高山植物のことを勉強するうちにすっかり植物に魅せられてしまって。今後は絵と並行して、植物に関わる活動もしていきたいと思っています。


ー 最後に、伊藤さんの左利きに関するエピソードを教えてください。

日常生活のほとんどは左手ですが、毛筆とハサミだけは右ですね。あと、歯磨きは左でも右でもできます。パソコンのマウスは左だったりするので、私の場合はどうやら最初にその道具に触った方の手が使いやすいということになるようです。

電車の改札では、suicaを隣(左)のレーンにタッチして通ろうとして、跳ね飛ばされたことがあります(笑)。

これまでで一番嬉しかった左利き用アイテムは、レードルですね。
わざわざ東京の合羽橋(調理器具や厨房用品の問屋街)まで行って買いました。一本だけ残っていたのを見つけた時の感動が今でも忘れられません。

ー ありがとうございました。これからもよろしくお願いします!

(伊藤さんと愛犬トロ /似顔絵作家・笑達さん 作)

伊藤さんのwebサイト
yoseemeaning

伊藤さんの最新情報はInstagramで
https://www.instagram.com/minkshippo/

「左ききの道具箱」はこちらからお買い求めいただけます


左ききの道具店はこちらから
https://hidari-kiki.shop
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