余とスマブラ【エッセイ】
高校時代からの友人である宗純君に勧められたスマブラなるゲーム、重い腰を上げてようやくやる気になったのは一年くらい経った後のことだった。
正確に言えば、勧誘後すぐに宗純君のコーチングを受けたが、低いモチベーションと一向に成長しない姿に愛想を尽かされてしまった。
そのとき選んだネスというキャラター。
「大人も子供も、おねーさんも」使いやすい初心者向けと言い張る輩もいたが、その三例法に漏れた「はみ出し者」がたまたま手に取って自爆し、そのまま画面外の穏やかな日常へとフェードアウトした。というわけだ。
なぜ今更になって「戦場」へ帰ってくる気になったのか、それはもう猫の気まぐれというしかない。
恥を忍んで強いていうならば、幼少期からの対戦ゲームに対するコンプレックスを克服するため、ということかもしれない。
小学校低学年のとき、放課後の友人の家で初めてスマブラを触った。ロクヨン版である。
自前のロクヨンを所持せず、前世代のスーファミに取り残されていた私は、とりあえずスパデラで馴染みのあるカービィを操作キャラに選んだ。
このときの私に、一つアドバイスができるなら、
「ほおばりジャンプは5回までしかできないぞ」
と伝えたい。
原作のスパデラでは無限に飛ぶことができるので罠だ。
ちなみにスパデラとスマブラのディレクターは、サークライと呼ばれる同一人物なので、原作者直々の原作レイプであると理不尽なイチャモンをつけておく。
初歩的なこともわからない子供カービィが、
初歩的なことがわかっている子供ネス相手に勝てるはずもなく、この日、人生何度目かの敗北を味わった。
ついでに、「初心者ファーストなゲーム」を目指していたサークライも、一人の初心者を救うことができずに、本人の預かり知らぬところで敗北したのだった。
ゲーム製作者とは過酷な仕事である。
今思えば「スマブラロクヨン事件」は少年の私にとって大きな出来事で、対戦ゲームをこれ以降避けるようになってしまったのだった。
昨今のテレビや映画では、タイムリープ人生やり直しモノや、異世界転生モノが流行っているが、現実では当然そんなことはできない。
しかし、これらの作品は「コンプレックス克服モノ」と言い換えることができるのではないだろうかと私は考えた。
するとどうだろう、先ほどつらつらと述べた「スマブラロクヨン事件」が、私の「リベンジ」するべき案件のようにも見えてきてしまうではないか。
というわけでスマブラSPという「戦場」ではなく「終点」に、
「リベンジャー」ではなく「アベンジャー」として帰ってくることにした。
使用キャラはリンク。今現在もオンラインバトルに潜り、対戦相手のネスに胸ぐらを掴まれて、強烈なパンチを喰らいながらブーメランを投げ、爆弾を起爆している。
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