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短歌集/長月 「フラペチーノとラテ」



いたはずの貴方はいない風が吹く
夢のおわりは季節のはじまり



半袖じゃそろそろ寒いねその声と
掛かる温もり待っていたのよ


「焼けたね!」と口の中では百回目
とどけと願う広い背中に



ほんのりと頬染め見上げる横顔に
ゆらり滲んで月は溶けゆく


赤茶色地味でしずかな吾亦紅
粋だと思う年齢になったわ


黄緑の宝石一粒おいくらかしら
瑞々しい香初秋の便り


白よりもキャメル赤よりもボルドー
身支度が変わるこころは変われる?


きっとこれが最後のフラペチーノ
来週からはほうじ茶ラテ


萩、桔梗、撫子、芒、藤袴
凛と立つのよと言われた気がして


あの雲がちりぢりになっても傍にいて
剥がれた鱗は虹色の涙



月が綺麗ですねなんて常套句
聴けるほど私綺麗じゃない






今月の短歌シリーズ、9月です。

子供の頃は遠足も運動会も文化祭もあって、秋は「楽しい季節」だったはずなのに、どうして大人になるとこうも切ない気持ちばかり浮かんでしまうのでしょうか。不思議。


あっという間に寒くなるんだろうな。

そろそろ、お鍋の美味しい時期ですね。



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