Advent calendar (12/22)

●12月22日●

テギョンの携帯に
ミニョからの返信があったのは
今朝になってからの事だった

言葉にして
伝えなければ伝わらない

別れを決意したあの時

ジェルミにも

シヌにも

母、モファランにも
それを教えられた

そしてテギョンは
ミニョを失わずに済んだ

そうであっても
人の思い癖は簡単には変わらない

伝わらないならそれでいいという諦めや

相手はきっと察してくれているという思い込み

思いや感情をありのままに
言葉や行動で示す事への恥かしさもあり

毎日言い続けてやると言った
「愛している」という言葉さえ
もう何日分伝えられずに
ため込んでしまっているのか

少し前
そんなテギョンの不甲斐なさを見かねた
ジェルミが言った
「だからテギョンさんはダメなんだよ
俺様キャラが受けるのは
漫画や小説の中だからなんだからね
女の子は大切にしなきゃ
それができないなら
いつでもミニョはもらっちゃうからね」

口を尖らせるジェルミの横で
シヌも静かに笑っていた

ミニョの事を諦められたと言っていたシヌでさえ
完全に吹っ切れてはいないのだろう

気持ちが通じ合ったと言っても
世界的スターと一般女性というだけで障壁はある

それ以外にも諸々
不安要素は山積みだ

「お元気ですか?
クリスマスの行事の準備や
シスターたちのお手伝いで
毎日忙しくしています

テギョンさんも
とても忙しい毎日だと思いますが
どうかくれぐれも身体を大切にしてください」

ようやく届いた
メールの文面に
テギョンはため息を吐く

「単なる近況報告かよ」

ハートマークの一つも無く
会いたいの一言も無い

「俺たちは本当に恋人同士なのか???」

唇を尖らせ
テギョンは天井を睨みつける

恋人であるはずの
テギョン事など忘れ
周りにいる人たちのために
忙しく働いている姿が
容易に想像できる

あいつの愛は広すぎる

そんな思いがテギョンの心には常にある

人としての愛が時に恋愛の愛を
忘れさせてしまっている気がしてならない

クリスマスイブまで
あと2日

恋愛としての愛

それを思い出させるために
テギョンは短いメールを送信する

「おまえに会いたい
イブの夜は
開けておいてくれ」

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