アイデアが着地するには?
自転車でピクニック→「チャリピク」② ガイド養成講座について
このコラムは、前回書いた三浦市の「チャリピク」プロジェクトの続き②です。
2022年度は「チャリピク」という仕組みと道具立てを作りました。
続く2023年度は、「チャリピク」を着地(ランディング)させるための地域活動です。
デザインやアイデアは地域を深く観察することから生まれますが、ある意味でフワリと湧いてくる雲のような存在です。アイデアが生まれた時点では、それが地域に根付くとは限りません。それを実際の地域活動にまで成長させ、地域に根付かせることを、ここでは着地(ランディング)と呼んでいます。
皆さんは「着地型(ちゃくちがた)観光」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
対になる用語として「発地型(はっちがた)観光」という言葉があります。発地型観光は観光の主な利用者が居住している大都市圏の旅行会社などが企画を立て実施するのに対し、発地型観光は訪れる地域のスタッフが企画し、運営するものです。地域住民だからこそ発信できるレアな体験を提供したり、観光による収入や雇用が地域に直接還元されるなどの効果から、近年注目を集めている、比較的新しいツーリズムの形態です。
言葉のあやのようではありますが、今回は、三浦市の着地型観光を実現するために、プロジェクトを着地(ランディング)させようとする試みについて書きます。
「チャリピク」というアイデアを着地させるためには、着地である三浦市の地域住民が主体になって企画立案し、運営していく仕組みづくりがどうしても必要です。
そこで、三浦市民交流センター、通称「ニナイテ」の協力を受け、私が講師になって、全5回のチャリピクガイド養成講座を行いました。
半日程度の講座を5回。
毎回、実際にチャリピク号でピクニックをしながら実地で学んでいただき、どうすれば楽しいガイドツアーを作り上げることができるかを一緒に考えていくという内容の講座です。ニナイテのご協力で、無事、予定した定員の8名の申し込みをいただき、地元のガイド候補生が集まってくださいました。
写真:伊藤博司
さて、「アイデアが着地するには?」について、このプロジェクトを通じて考えたことをまとめます。先に書いた通り、アイデアはフワフワと湧いてくる雲のような存在だと思います。どんな瞬間に浮かんでくるか、わからないし、浮かんだ瞬間、メモやスケッチなどでうまく捕まえないと、霧散して消えてしまうような儚い存在。
一方、「地に足が着いた」という表現があるように、我々の活動のベースは地表付近にあるのが一般的な感覚に近いでしょうか。あくまで比喩に過ぎませんが、「アイデアを着地させる」というのは、アイデアを人々との間で共有し、生活の中に取り込んでいくことで日常化させることなのではないかと思います。
アイデアが一旦着地し、人々の日常の一部になると、それは発案者から離れて成長し、いろいろな形に姿を変えます。その段階で、発案者としては子供が巣立っていくように、アイデアを手放す瞬間でもあります。
今年から、チャリピクは三浦市観光協会さんが販売してくださっています。
こちらは単なるレンタサイクルプラン。
こちらは、お勧めのガイド付きプラン
よろしければ是非、体験してみてください。
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