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中部学院大学4年生臨地実習受入れ

飛騨市民病院看護部長  岩﨑美幸

令和2年度は中部学院大学の看護学生の臨地実習を開始する予定で準備を進めていましたが、新型コロナウイルス感染症流行拡大から中止となってしまいました。しかし令和3年度は、万全の感染対策のもと8月上旬に当院では初の看護大学4年生の実習受け入れが実現しました。看護学生、スタッフ共に有意義な機会となりました。

実習受け入れ準備について

当院の強みである多職種連携を学生一人一人に体験してもらえるプログラム内容としました。また、事前に看護部会で「良い実習だったと思ってもらうために私たちができること」「自分達が考える当院の魅力について」「看護学生から何を吸収したいか」をグループワークで話し合い、実習目的・目標の情報共有を行なってから看護学生の皆さんをお迎えしました。

グループワークの結果

★学生にとって良い実習だと思ってもらうために私たちができること

質問しやすい環境、小さい病院だからこそ情報共有できている、スタッフ間の仲が良い、楽しそうに働いている、やりがいを持ってスタッフ間でコミュニケーションがとれている、優しい看護師、余裕を持って学生に声かけができる、コールにすぐ対応できる、雰囲気が良い、お互いの意見を言い合える、チームを大切にする、患者との関わりで学ぶことがある、いつも笑顔で接する、褒める

★自分達が考える当院の魅力について

スタッフ間の仲が良い、患者の背景まで理解できていてそれに対するケアができている、退院支援が手厚い、患者・家族にそった退院調整、柔軟にいろいろな疾患に対応している、スタッフも地元愛を持っている、将来ここでお世話になるという思いがある、田舎ならではの知人が多い、楽しそうに働いている姿、地域特有の医療、顔の見えるアットホームな関係で安心できる、カンファレンスが多く情報共有しやすく、一人の患者対応に対していろいろな考えややり方を皆で検討している、幅広い年齢層のスタッフが、それに伴った経験からの考え方で多角的に看護ができているかも。

★看護学生から何を吸収したいか

現代の看護学生の視点を学ぶ、素直な意見、初心の心、若さ、今の看護の考え方、新鮮な目で新しい看護(基本的な姿勢など)を吸収したい、優しさ・礼儀正しさ(接遇)、看護の基本姿勢の一生懸命さを学びたい、違った視点から考える姿勢、若さとフレッシュな気持ち、フレッシュな気持ち。

実習の様子を紹介

学生一人一人に担当看護師がついて丁寧に説明しています。学生も積極的にいろいろな質問をしてくれて、スタッフにとっても良い刺激となりやりがいにも繋がりました。

毎週木曜日に病棟においてチーム毎に分かれ、退院支援カンファレンスを開催しています。
患者さんが退院する際にはどんな問題・課題があるのか積極的に意見を出し合っているチームカンファレンスに参加してもらいました。

たんたかひだ(特別養護老人ホームたんぽぽ苑・介護医療院たかはら・飛騨市民病院)介護医療連携推進協議会開催の様子です。地域包括ケア課のスタッフ、地域包括支援センターなどを含む多職種連携カンファレンスを行なっています。実習時期と重なって開催されていたため急遽見学してもらいました。大学教員の先生も一緒に参加されとても興味深い会議で印象に残ったとのご意見をいただきました。

看護学生の感想

アンケート結果より

質問1)実習全体のよかった点を具体的に挙げてください。

  • 看護師全員が優しく気さくに話してくださり、様々なことを教えていただきました。医療従事者間の雰囲気がめちゃくちゃ温かく充実した実習をさせていただきました。

  • 学生に寄り添ってとても丁寧にご指導くださりまた貴院ならではの様々なものを見学させていただき学びの多い実習となりました。

  • 指導者さん、師長さん、看護部長さんをはじめとする全ての方があたたかく指導してくださり、たくさんの学びに繋がった。看護マネジメントだけでなく、看護師間の信頼関係(良好な関係)構築についても学ばせていただいた。

  • 施設で働いている全ての職員の方が看護学生を見守って頂いていることがとても伝わってきました。大変感謝いたします。

質問2)悪かった点、学べなかった点を具体的に挙げてください。

  • 実習時間が短縮された(台風接近に伴い)ため学べるはずだった事が無くなってしまったことはとても残念でしたが、それでも充実したとても良い実習となりました。

質問3)指導者に対して熱意が感じられたか

全ての看護学生がとても良いとの回答でした。

  • ひとつひとつの動きに対しての留意点や、なぜそうするのかの根拠、どういう視点で考え動いているのかをより詳しく教えていただけて良かったです。また、学生に対しても優しく様々なことに配慮していただき実習を伸び伸びとさせていただくことができました。

  • 1つの質問に対して1つの返事ではなく沢山のことを教えていただきました。とても分かりやすくて優しい方で、実習が楽しいなあと感じることができたし、とても充実でした。

  • 本当に細かな所まで丁寧に指導してくださり、有意義な時間を過ごさせていただきました。私の質問にも丁寧にお答えいただいて、今までこのような体験をしてこなかったので涙が出そうなほど嬉しかったです。笑顔が素敵で患者さんの事を常に考え行動されていた指導者さんのような看護師になれるよう頑張ります。

  • 担当指導者を学生一人一人に配置して頂き、とても丁寧に指導して頂きました。特に様々なことを短い時間で体験させていただけたことは、学生にとっても忘れられない学びになったと思います。

質問4)この実習で特に印象にのこったことを書いて下さい。

  • 看護師さんがとにかくあたたかい人ばかりで実習がしやすかったです。みなさんと出会えたことを嬉しく思います。

  • 「学生さん」ではなく名前で呼んでくださったことがとても印象に残ったし嬉しかったです。看護部長さんがここまで学生に寄り添ってくださるんだと驚いた反面嬉しかったです。

  • 看護部長さんや師長さんをはじめとする指導してくださった方々が、とても細かく詳しく丁寧に説明していただけた事や、病院全体の雰囲気がとても温かくスタッフの方々全員に優しくしていただけたこと。

  • 職員の皆さまの関係性がとても心地よかったです。この心地よさが飛騨市民病院の強みだと思いました。たんたかひだ会議が印象的でした。他施設と地域の将来について議論する機会はとてもうらやましく思います。

質問5)当院の看護について浮かんだ「キーワード」を書いてください。

  • アットホーム

  • 雰囲気が良い(良すぎるくらい)、多職種連携が強い

  • 共生

  • 温かい、多職種連携

質問6)将来飛騨市民病院で働きたいと思いますか。

全ての方が働きたいと答えてくれました。

  • このような温かい環境で今までの実習病院さんの中で1番働きたいと感じました。

  • やっぱり高山の方々、飛騨の方々はあたたかくて好きだなあと思いました。

  • 大学の後輩におすすめします。

  • 病院、病棟の風土が本当に素敵だと思いました。まさに協働だと思います。

  • 今後もこの風土の病棟を学生に見てもらいたいのでこのまま維持していただきたいです。

質問7)宿舎について

  • 十分すぎるほど何もかもが揃っていました。ありがとうございました。

  • お湯が出ないハプニングはあったけど何不自由なく生活させていただけました。

  • 初日にお湯が出なかった事以外は全部素敵で立派な宿舎を提供していただきありがとうございました。

  • 充実していて申し訳ないくらいです。今後教員は近くの旅館でも良いと思います。

質問8)町中案内

  • 雨が降っていたので見られる範囲内でしかできなかったけどとても分かりやすく説明してくださりありがとうございました。

  • 1つ1つの地を丁寧に詳しく説明してもらうことができ、神岡のことをより知ることができたし楽しい時間となりました。

  • 4日間中3日間雨だったのでなかなか遠くまで行くことができませんでしたが、今後プライベートの旅行で行きたくなる所ばかりでとても素敵な町だと思いました。

  • 風情のある街並みが好きです。住みたいくらいです。郷土愛伝わる町中案内ありがとうございました。

以上がアンケート結果となります。アンケートご協力ありがとうございました。
本来は2週間の予定でしたが、コロナウイルス感染症を考えて3日間という短期間の受け入れでしたが、たくさんの素敵なご意見に感謝です。

ガッタンゴーの体験

学生1名は退院支援カンファレンスが入りガッタンゴー体験をしてもらえませんでしたが、大学教員の先生、学生2名に渓谷コースを楽しんでもらいました。雨が降ってきたのでカッパを着ての参加となりましたが、私も初体験で看護学生の若いエネルギーと大自然からのエネルギーをたくさんもらって帰ってきました。

ガッタンゴーとは?

レールマウンテンバイク「ガッタンゴー!!」は、自転車と廃線後の鉄路を組み合わせたアクティビティ。2台の自転車をフレームにがっちり固定したレールバイクで、旧神岡鉄道のレールの上を走ります。

レールマウンテンバイク Gattan Go!!

受け入れをしてみて

学生時代の実習の経験は、とても印象深く就職に繋がる事が多いと言われています。直接働いている看護師と触れ合い、職場の空気を感じてもらう機会は、看護学生だけでなく当院スタッフにとっても有意義な機会でした。

実習指導にあたったスタッフからは『担当できて良かったです。実習指導者研修に行きたいです』と学生への指導を通じて、もっと学びたいといつ気持ちが高まったスタッフもいました。実習受け入れ開始によって私たちも看護師になりたかった原点を思い出したり、学生の看護に対する思いに触れることができ自分達の看護観を立ち止まって考える素晴らしい機会となったと実感しています。

実習終了後には、看護学生から実習担当者一人一人にお礼の手紙が送られてきました。それを読んだ担当スタッフはとても嬉しく新鮮な気持ちになったようです。私宛のお手紙もいただきましたが、とてもあたたかい気持ちとなり人と人とのご縁に感謝しスタッフと一緒にいろいろ準備してきて良かったと思いました。

今後も学生、看護スタッフが互いにプラスとなるような実習の継続をしていきたいと思います。当院では看護学生の実習受け入れは初の試みでしたが、今後も実習を通してより多くの未来の看護師仲間となる学生に、飛騨市民病院の良さを知ってもらいたいと思います。

初実習受け入れが無事終了できたのは、病院全体の顔の見える関係性ができており職員が一丸となって協力し合える職場風土があるからだと思います。看護部だけでなく部署をこえ病院全体で実習受け入れを支援・協力してくれたスタッフのおかげです。今後も、看護の質向上とスタッフ自身が看護について再確認する機会となる看護実習を継続していきたいと考えています。

おわりに

今回実習に参加された中部学院大学看護リハビリテーション学部看護学科のみなさま、当院を選んでいただきありがとうございました。また教員の野田先生には実習の間優しく温かく見守りご支援をいただき、看護学生はもちろん受け入れ側の私たちも安心して実習の受け入れができました事に深く感謝申し上げます。今後もご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。

これからも看護学生の皆さんが当院の強みを実感し、実習の目的・目標を達成できるよう工夫していきたいと思います。

#里山ナース


中部学院大学看護リハビリテーション学部
看護学科の紹介

看護学科の教育理念

個人をかけがえのない人間として尊重し、看護を通じて保健・医療・福祉に貢献できる看護者を養成する。

看護学科の教育教育目的

地域社会の保健・医療・福祉に貢献できる看護専門職者の育成を使命とし、看護の対象のwell-being をめざして、質の高い看護サービスを提供するために、豊かな人間性と確かな看護実践力を備え、福祉を基盤とした文化の創造と共助社会の構築をめざす人材を育成することを目的とする。

今回の実習受け入れの目的、目標について。

臨地実習の目的

さまざまな健康段階にある人びとに応じて、看護を展開できる能力と態度を養うことができる。また、自己の看護観の形成を促すことができる。

臨地実習の目標

  1.  看護を実践する場の特徴を多角的に理解することができる。

  2. 看護の対象となる人々と援助的人間関係を築く能力と、態度をもつことができる。

  3. 様々な成長・発達段階にある対象とその家族の特徴を理解することができる。

  4. 看護の基礎的知識や技術および関連諸科学を統合して、看護過程を展開できる。

  5. 保健・医療・福祉チームの一員として多職種と協働し、地域社会に貢献できる。

  6. 実習を通じて自己の価値観、看護観の形成を促すことができる。

  7. 自己の課題を明確にし、主体的に学習できる。

今回の4年生の臨地実習は、広域発展領域の統合看護学実習としてチームナーシングを学ぶと同時に、多職種との協働を図りつつ、看護を広い視野から全体的に捉え、看護の専門性を発揮できる能力の習得を目指す。