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楽しさが活動の原動力 〜つながりが繋ぐ新たなつながり〜

今回は、飛騨市立古川小学校の地域学校協働活動推進員であり、その他にも地域の中で様々な役割を担っている北平さんに、横断的に地域活動に関わることへの思いや活動を行う上で大切にしていること、活動を通してわかったこと、今後の展望に至るまでたっぷりお話をお聞きしました!

■プロフィール
株式会社北平商店、防災士、NPOひだ文化村理事、ひだチャレンジクラブ(総合型地域スポーツクラブ)役員、地元子ども会育成会副会長、古川小学校学校運営協議会副会長、ふるさとアドバイザー、古川中学校ふるさとコンシェルジュ(防災)
北平 智久さん

飛騨市古川町出身。愛知県の大学へ進学後、東京の通信工事系の会社に就職。その後、6年半ほど国内、海外への転勤を経験し、2000年9月に地元へUターン。その後は家業であるガソリンスタンドを継ぎ、現在は並行して、推進員の他に8つもの役割を担い様々なかたちで地域に関わっている。

すべてはつながりから生まれた飛騨での活動

―― 北平さんは、地域の中で現在様々な役割を担っていらっしゃいますが、どのような始まりだったのか教えていただけますか。

最初は、Uターン後に継いだ会社の専務(従兄弟)が青年会議所(JC)に入っていたことがきっかけでした。ちょうどその方が卒業されるタイミングで私が飛騨に戻ってきたので。それがちょうど2005年頃です。
その後、飛騨市文化交流センターが新規建設に入るということで、NPOを立ち上げる話があり、数年後に理事をやらせていただいたり、ひだチャレンジクラブという総合型地域スポーツクラブも立上げから関わらせていただいたり。自分自身、音楽や文化が好きでしたし、総合型スポーツクラブはスポーツをやるだけでなく文化面もできる点が良いなと。結局は「自分の街がなんか楽しくなればいいよね」という思いがあって。
そういった活動を通しいろんなつながりができ、現在の学校運営協議会や地域学校協働活動、防災士の活動につながっています。当時のつながりがあるからこそ、お互いに頼みやすかったり。飛騨に帰ってきてからずっと忙しいですね(笑)。ただ、どれも自分の中では楽しいと思っている。たぶん楽しくなければ辞めていると思います。
いろんなやジャンルをやっているからこそ、「こういうことをやりたい」という話題が出た際にあの人にたずねようとか、いろんなところで繋がっているからこそ、あそことここを繋いだら何か面白いことができそうというのが自然とわかってくる気がしています。

古川中学校では「ふるさとコンシェルジュ」という立場から防災教育を担当されている北平さん

―― 推進員としては、どのような役割を担っているのか、また現在の活動内容について教えてください。

推進員の本来の役割を考えると、学校運営協議会と地域学校協働本部とのつながりを持ってほしいということだと思います。ただ、地域学校協働本部には概念的にはいろんな団体が紐付けられているものの、それが目に見えてあるわけではない。そこをどうつなげていくかというのが推進員としての仕事だと思っています。保護者だけに関わらず、地域の方々を学校とつなげていきたいところですが、コロナ禍ということもあり、実際はなかなか進んでいないというのが実情です。
昨年度は、他の推進員の方々と子ども会との連携も取れれば良いなと思い、ある程度計画段階まで進んだのですが育成会の活動期間の関係もあり実現できませんでした。活動の方向性としては、新たなことをやるということではなく、今まで各地域がやっていることを学校が核となり繋げていけると良いなと。

※地域学校協働活動推進員とは
地域住民の中から地域と学校との橋渡し役として教育委員会から委託される役職。地域と学校との連絡調整や情報の共有、地域学校協働活動の企画や調整、運営、地域住民への助言などを担う。

自分自身だからこそ出せる価値を子どもたちに

―― 古川小学校では、地域の方の学校活動への関わりしろとして「ふるさとアドバイザー(※)」といった制度がありますが、どのような活動をされているのでしょうか?

※ふるさとアドバイザー(FA)とは
古川小学校独自の学校運営協議会が母体となり地域から任命し配置される「ふるさと教育」に対するアドバイザー制度。

子どもたちのふるさと教育を充実させようという目的で行っているもので、「ふるさとやんちゃ学」という名前をつけて活動しています。学年ごとに子どもたちにつけたい力が設定されているので、ふるさとアドバイザーとしては、どんなプログラムが良いかやどんな方を地域側から入れられると良いかなどの提案や地域との調整を行っています。

古川小学校学校運営協議会組織図 (出典:古川やんちゃっ子通信 vol.1 2020年8月17日より)
「防災士」という立場を活かし、「やんちゃ学」で5年生向けに防災について講話を行う北平さん

―― 北平さんご自身そのような関わりの中で、どのような思いをもって活動されていますか?

(自身がアドバイザーを担当される防災教育においては)知識を伝えるだけでなく、何か感じとって行動につなげてもらえることを授業の中に一つでも二つでも入れられると良いかなと思っています。

―― 今年度の取り組みの中で、何か印象に残っている出来事はありますか?

つい最近行った防災タウンウォッチング(※)。募集をかける最後のタイミングにも関わらずまだ1名しか参加者がいないという状況があって。子どもたちはどんなものだったら良さがわかるのかなと思い、昨年たまたま実施した際の動画を見せたところ、楽しさが伝わり、結果的に11名が参加してくれました。
あとは、授業の最後に「習ったことを家でも話をしてね」と伝え、後々繋がりのある保護者の方に子どもたちが話していたということを聞くと、ああ話のたねになっているんだなと。学校での学びが家族の会話の中に出てきてくれると、一番自分としては嬉しさを感じますね。私が言ったことではなくて、言ったことを自分の言葉で表現をして親さんやおじいちゃん、おばあちゃんとかに話をしてくれるとなお良いのかなと。さらにそこから新たな行動をしてくれると、そこからはもう子どもたちが自動的に動いてくれると思う。

※防災タウンウォッチングとは
小5〜高3が対象の五感を使った防災教育プログラム。実際にまちに出てチェックポイントをまわりながら防災知識を得ていく取り組み。

学校教育に地域が関わる可能性

―― ずばり、地域の大人が学校に関わる価値はどのようなところにあると思われますか?

自分達が子どもの時は、ある意味放任主義というか、甲斐性(※)がある子づくりが体験を通し自然と地域の中でできていたような気がするが、今の世の中、体験しようとすると、それこそ危ないとか怖いねとか、親の方が心配をしすぎる。自分もそうだが、それをどこまで我慢できるか。
子どもたちには「もし制限がなければどんなことがやりたい?」というようなオープンクエスチョンの問いかけを心がけている。これからの時代、大人側が問いかけさえしっかりでき、子どもたちからのリアクションに対してどう応援をしていくか。大人も学んでいかなければならないとつくづく思います。親にとっての子育ての勉強の場としても、みんなで語り合える場があると良いと思う。

※甲斐性…飛騨においては生活能力の意味で使われる

―― 活動に協力したいという場合、どのような関わり方ができそうでしょうか?

古川小学校の場合だと、クラブ活動に地域の方が結構入ってきています。例えば、地域で活動しているマジシャンの方に来てもらったり、ゲートボールをやっているご高齢の方々が校庭で休み時間にゲートボールをやっていたりとか。世代が上の方々としては、自分達の活動に全然下の世代が入ってきてくれず、活動が続いていかないという悩みがある。そうなった時に、子どもたちが興味を持ち活動に参加してくれるとさらに元気が出ます。
子どもたちはきっかけを求めている。学校教育の中では制約もありなかなかきっかけづくりができない。ただ、できない訳ではなくきっと自由な時間もあるため、そこに地域がどれだけ絡んでいけるかが大事だと思います。

人との繋がりが活動の後押しになる

自分自身、海外に行かせてもらい色々な経験ができたお陰で世界が広がり、飛騨に帰ってきてからもいろいろな方々と繋がって活動をさせてもらっています。何か活動をする上では、やっぱり人との繋がりは大切。ただ、その大切さは、たぶん経験とか一緒に活動してきたというところはあるので、そこは、子どもたちもそうした機会が増えていけば心の中に作られてくるんじゃないかなと。それによって、たとえ外に行ってもやっぱり地元に戻りたいなと思うだろうし、戻ってこられなくても地域のことを思うのではないかなと思います。