Bless or hate crime ソーダ割り選べばそれで十分だった
Bless or hate crime(祝福とヘイト・クライム) ソーダ割り選べばそれで十分だった/藤井
うたの日 2023.6.7『ライム』
レイン・オン・パレード 法も結婚も要らない、きみに傘を差したい/藤井
うたの日 2023.2.6『レイン』
香港のショッピングモールで、手を繋いでいた同性カップルが刺殺される事件があった。
報道によって、被害者の2人を「友人」としていることもあれば、犯人が精神疾患を抱えていたという情報もあり、詳細な事実はわからない(仮にカップルである2人が「友人」として報道されていたなら、それもまた悲しいことであるが)。
だが、この事件の真相に関わらず、ヘイトクライムは確かに存在する。
私はレズビアンで、恋人は女性だ。
このことを知って、まるでそれが男女の恋愛よりも美しいものであるかのように、素敵だと讃えてくれる人がいる。
一方で、私の経験に基づくわけではないが、侮辱や、差別意識による暴力を浴びせる人々もいる。
私は、どちらも要らない。
そりゃ、カミングアウトした時に素敵だと言ってもらえたら嬉しいけど。
偏見、はたまた憎悪が存在していることは事実で。
祝福とヘイトが入った箱を渡されても、私はそこに手を突っ込んだりしない。
そんな選択肢、要らない。
この事件が起きたころ、恋人は帰り道に、私の好きな果実酒をお土産と言って買ってきてくれた。
ロックで飲もうとしたけど、少し迷って、やっぱりソーダ割りにした。
そのくらいの選択ができたら十分なのに。
大層な願いなんてないのに。
ヘイトクライムだけでなく、心無い言葉は今も、雨のように降り注いでいる。
法律や制度が整って、例えば私たちが結婚できるようになったらいいなと思う。
でももしそれによって、きみが冷ややかな悪意に打たれることがあるなら。
それなら私は、法も結婚もすべて手放して、きみに傘を差したい。
今の日本では、女同士で結婚することはできない。
でも女同士だと、服を貸し借りできるし、寝落ちた時もう片方が化粧を落としてくれるし、メイクもしてもらったり。結構便利なんだよ。
そう言って私たちは笑う。
いつか傘を閉じて、きみを家族と呼べる日が来るまで。
レインボー・パレード おいで、泣き濡れたきみにわたしの紅を差したい
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