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CG業界の働き方レポ / アニメ会社編

こんにちは。CGアニメーターのコマツです。

今回は「CG業界ってどんな仕事?アニメ業界編」ということで、新人時代に働いていたアニメ会社について思い出せる範囲で書きました。

10年以上前の話にはなりますが、CGのお仕事サンプルの一つとしてどうぞ。

小さなブラック会社

僕がCGデザイナーのキャリア最初に就業したのは、アニメ下請けをしている小さなCGスタジオです。

規模30人ぐらいで全員CGデザイナーという良くある(?)CG制作会社で、みんな徹夜しながら仕事をしてるような分かりやすいブラック会社。

入社後まもなく大手アニメ会社のCG部署に出向して、足かけ6年くらいTVアニメのCGパートを制作していました。

勤務スタイルは自由

エンタメCG業界は服装自由な会社がほとんどですが、はっちゃけた個性の人が多かった印象です。

オシャレというより「奇抜」って感じの人が。

僕は見た目こそ普通にしてましたが、サンダルジーパンで財布とケータイだけ持って手ぶらで会社行ってました。
およそ仕事に行く格好ではありません。

出社退社の時間は決まってなく、まあ15時頃までに来てれば良いよね的な空気感。
出向先の社員さんは朝~昼に来て夜に帰る、まだ普通な生活を送ってましたが、なんにせよ定時っていう概念はない職場でした。

※むしろ「定時」という言葉を転職してから知りました。

CG屋の対応力はつく

一貫して全員ジェネラリストな職場だったので、

●デザイン画を見ながらモデリング
●セットアップ
●絵コンテ見ながらアニメーション
●エフェクト
●ライティング・レンダリング
●AEでコンポジット

というCG制作の一連を経験できたのは良かったと思っています。

その後、遊技機・ゲーム業界と環境を移ることになりますが、何かしら「前にやったことがある」領域が絡んでくれるので、未経験の業務でもそこから広げて対応できたのは助かりました。

底辺でついた力、人はそれを「底力」と呼ぶ

最初がブラック制作会社だったおかげか、転職後の職場が多少ハードであっても余裕でこなせるぐらいの耐性はつきました。

先に底辺を知っておくと「あれよりは全然マシ」ってなります。良いんだか悪いんだか。

とはいえ転職するたびに勤務環境を改善できているので、結局この会社が底辺だったな...

業務委託は全部やる

勤務先との契約は業務委託。
要はフリーランスとして常駐している体裁です。自分で確定申告をして、社会保険と住民税は自分で払います。

そのおかげか節税とか確定申告には詳しくなったので、個人事業主となった今でも役に立ってます。

規模が小さく、従業員を雇用する余裕がない制作会社はたいてい業務委託で募集しています。社員契約と何が違うのかぐらいは知っておくと吉です。

ほぼ毎日〆切

在籍中はずっと週アニメの制作を担当していましたが、毎週〆切が3つあって毎日追われていた気がします。

C/T:カッティング。一話分の尺(長さ)になるように全カットの尺を決める前の〆切
がんばって作ったカットがばっさり切られたりします。
DB差:ダビさし、ダビング前差し替え。声優さんのアフレコや効果音などの音入れ前の〆切
音に関わるアニメーションのタイミングは変えられなくなります。
V編:ブイへん、ビデオ編集。テレビ局への最終納品

これら〆切を毎週のペースで進めていくとこうなります。

【とある一か月のお仕事】
第1週 月曜:5話C/T〆 水曜:3話DB差〆 金曜:1話V編〆
第2週 月曜:6話C/T〆 水曜:4話DB差〆 金曜:2話V編〆
第3週 月曜:7話C/T〆 水曜:5話DB差〆 金曜:3話V編〆
第4週 月曜:8話C/T〆 水曜:6話DB差〆 金曜:4話V編〆

毎週1話ずつずれながら各フェーズの締切が訪れるというテトリスみたいなスケジュール。たまに特別番組で放送休止になったら「よっしゃー遅れてる分取り戻すぞー!」みたいな自転車操業でスリルありました。

今もこんな感じでやってるのか分かりませんが、奇数話・偶数話で担当チームに分かれたりとかもうちょっと楽なのかもしれません。

お決まりの激務

週休2日自体があいまいなので2ヶ月お休みがないとか、40時間通しで作業とかを若さとノリでやってました。

後輩が「家賃6万円のアパートに住んでるけど週1しか帰ってないから、1泊15,000円のホテルに泊まった方が良いんじゃないか」とぼやいてたのを覚えてます 笑

今にして思えば生産性の超絶低い職場なんですが、なんだかんだ楽しかったので良い思い出としておきます。

仕事はデザイン作業のみ

制作進行さんという存在のおかげで、制作体制そのものはゲームや遊技機開発よりよっぽど確立してました。
スケジュールと人手が厳しいだけで、ゲーム開発でよくある「納期前にプロデューサーが思いついた仕様変更」みたいな理不尽な仕打ちは少なかったです。

放送枠がある以上、間に合わなかったは許されないですし。その辺はしっかりしてました。

なので我々デザイナーはひたすら絵コンテどおりに絵を作っていくマシーンのごとく黙々と作業。他部署と相談して決める、とかが発生しないのね。

ただあまりに作業がルーチン化されていたので思考停止で仕事しがちな環境です。

底辺アニメ会社まとめ

今もこんな会社はたくさんある気がするんですが、ずっといる環境ではないのでうまく利用するべきかなぁと思います。

・短期間で経験値が得られる
・現場の底力がつく
・転職の踏み台

最近のアニメ作品は1~2クールの短いタイトルが多いので場数が多く踏めるのもメリットですね。
ゲームだと3年以上同じタイトルに関わることもありますので。

大変だったし経営体制はブラックそのものでしたが、現場のスタッフ同士はわりと仲良くやっていました。しんどかったけど楽しかったとも思います。

どのタイミングで転職する?は以下の記事にも詳しくまとめてみましたので合わせてご覧ください。

何かの参考になりましたら幸いです!

次はパチスロ会社編をまとめていきます。

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