最悪の首相

最高の首相(最高指導者、最高権力者、最高元首など)というのは、人間が人間である限りあり得ない概念。

トップも人間であるから間違いも犯すし、誰にとってどう良いのが「最高」なのかも受け手により異なるし、なにしろ、「トップが最高」そのものが、良いのかも甚だ疑問である。

逆に「嫌だな」と思う人はいる。
悪い方は、概念として立てやすい。

私は今のところ、人権と尊厳とを旗印にしているので、ここが侵される場合、その人は私にとって悪い人認定である。

さらに今のところ、この人権と尊厳とを大切に思う政体には、民主主義が既存の中では比較的マシである。

民主主義とは、愚かな人々が作り出した愚かな政治形態であるが、それでも寡頭制や独裁制、貴族制、全体主義的なものよりは遥かにマシである。(私は、人間の叡智を持って、民主主義よりもさらによい体制を作り出せるのではないかと希望を持っている)

と言うわけで、
以下、humanrightsとdignity、そしてdemocracyに反していると思う物事を書いてみよう。

・改竄・廃棄などの公文書軽視
・統計偽装
・有権者買収
・誤った政策を途中で止められない
・カルト宗教や反社勢力と密接
・社会保障を縮小
・内輪の優遇
・合議制、議会制、国会の軽視
・第三者機関によるチェック機能を排除
・マスコミの抱き込み
・司法の抱き込み
・人治国家
・三権分立の崩壊
・政治に私を持ち込む
・極めて犯罪性の高い疑惑が多く、そのために貴重な政治リソースを割かれる
・差別など問題発言
・多様性に欠ける組閣
・独占的
・会見を開かない、または会見の体をなさないものしかしない、または、聞かれたことに答えない
・根拠、事実のない立法
・閣議決定の乱発
・憲法違反、法を犯しても罪を問われない

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キリがないが、我ながらどれも似たような事象で、まとめられるものもたくさんあるかと。

その中でも、公文書軽視と権威勾配の危うさ、国会軽視を、特に危険視する。

ともあれ、いずれも民主主義とは相反するものである。(私の思う民主主義であるが)

ここに抵触した人は、私にとって悪い指導者、と言う訳である。

特にどの人を指している訳でもない。ただ、ここ数十年、いや、その実もっと前から、民主主義を侵すような人たちはワンサカ掃いて捨てるほどいた。

結局、その人がどうかというより、フィロソフィーなんだろうなと思う。

哲学なき人物は、政治をするには中途半端過ぎる。

今、哲学を持って政を担う人は一体どのくらいいるんだろう?
国会での大義なき空虚な議論、いや、議論ならまだマシで、議論にすらならない、日本語ですらない、ただ暖簾に腕押しといった時間の浪費、さらに数で押し切る、国会にすら議題を行かせないと言った倫理なき狼藉は、犯罪にしてほしい。居眠りも。

以下の記事を目にした。

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大規模な金融緩和を中心とした安倍晋三元首相の経済政策「アベノミクス」の指南役として、当時内閣官房参与を務めた浜田宏一米エール大学名誉教授(87)が本紙のインタビューに応じた。浜田氏はアベノミクスの10年間について、大企業で利益が出ても中小企業や労働者に恩恵が波及しなかったことに「意外で、いびつな状況」との見解を示した。主なやりとりは次の通り。(原田晋也)

 —過去に「アベノミクスはトリクルダウン」と発言していた。
 「私がアベノミクスの性質を十分に理解していない時、トリクルダウンのようなことをやっていると誤解した。反省している。最近の私はアベノミクスはトリクルダウンではなかったと思っている。今、トリクルダウンを信じてはいない」
 「私が安倍首相(当時)に『政府が、企業が思う以上に賃金を上げろと言うのは難しいのでは』と言ったところ、『企業は労働者の生活を考え、国民の総需要が不足しないように十分に賃金を払わなければいけない』と強く反論された。反論されたのはあの時が唯一だ。このことで、首相がトリクルダウンの考え方ではないとはっきり分かった」
 トリクルダウン 英語で「徐々にしたたり落ちる」という意味で、大企業や富裕層を先行して豊かにすれば、中小企業や低所得層にも富が波及し、国民全体が豊かになるとの経済理論。小泉政権などで取り入れられたとされ、アベノミクスも開始当初、政権の政策顧問や閣僚らがこの考え方を説明していた。
 —大規模な金融緩和で大企業の収益が改善したのに、賃金が上がらなかったのはなぜだと考えるか。
 「長いデフレが続いたことで、みんな物価上昇に悲観的になった。(企業の行動が)出血してでも(低価格で)ものを売るような商売になってしまった。消費税増税でも企業が商品に価格転嫁できず、労働者などの川下にツケが回ったのではないか」
 —「ツケが回る」とは、大企業がもうけても下請けの中小企業は取引価格を上げられず、労働者の賃金も上がらない状況のことか。
 「そうだ。いびつな状況だといえる」
 —10年間たっても賃金があまり上がらなかったことは予想外だったのか。

 「予想外だった。僕は漠然と賃金が上がっていくと思っていた。安倍首相もそう思っていたと思う。賃金がほとんど増えないで雇用だけが増えるようなことに対して、もう少し早く疑問を持つべきだった。普通の経済学の教科書には、需要が高まっていけば実質賃金も上がっていくはずだと書いてある。ツケを川下の方に回すようなシステムで調整されるなんてことは書いていない。意外で、望ましくない方向にいっている」
 —安倍氏は、最初からトリクルダウンを意図していなかったのか。
 「(アベノミクスで)雇用が増えるとは思っていただろう。だが、それによってみんなが豊かになるだろうと思っていたかは、分からない」
 橘木俊詔たちばなきとしあき・京大名誉教授の話 アベノミクスは金融緩和をすれば日本が経済成長に向かうという期待が強すぎた。しかし中小企業への価格転嫁や非正規労働者の処遇改善などの政策は掛け声だけで終わり、トリクルダウンが起きるための環境整備ができなかった。岸田政権は当初、分配重視を掲げたが、党内の反発を恐れてか最近は言わなくなった。安倍路線からの変化はあまりみられない。
 橋本健二・早稲田大教授の話 安倍政権期に大企業や富裕層への所得の分配が強化された一方、人々の実質賃金は下がった。トリクルダウンは全く起きていない。批判が増えたので「トリクルダウン政策ではなかった」と、口先だけ軌道修正している。最低賃金の引き上げは民主党政権の路線に沿ったもので、格差を縮小させる効果がある独自政策はほぼ何もしていない。

はまだ・こういち 東大卒。東大教授や米エール大教授、内閣府経済社会総合研究所の所長を経てエール大名誉教授。第2次安倍政権の2012年〜20年に内閣官房参与を務め、大規模な金融緩和を提唱した。
2023/3/14東京新聞web

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最初読んだ時に、はて?と思い2度3度と何度も読んだが、意味が分からない。

この煌びやかなキャリアを持つ内閣官房参与の男は、

無能なのか?

アベノミクスもトリクルダウンも、「後悔している」って、正気なのだろうか。

私は第二次安倍政権時のあのきな臭さを覚えている。何もかもが掛け声ばかりで、実際の社会構造自体が変化していないことも体感していた。

アベノミクスはまやかしで、デフレが脱却する予兆も見えなかったし、結果何も起こらないだろうと思っていたし、かといって、誰も彼もしらばっくれて責任を取ることもないと思っていた。

安倍政権下で、外交も経済も、はっきり言って勘が、筋が悪いと思っていた。

そして10年経った今、明確に失敗だったと言える。

プーチンに、ただ策なく近寄ろうとして、国際的に愚かな無様な姿を見せただけでなく、ロシアによるウクライナ侵攻により、その策略が明らかな手ひどい誤りであったことを証明してしまったし

イスラエルに、ただ策なく近寄った愚かな首相は、この度のハマースによるイスラエル攻撃を目にすることなく生を終えたが、筋の悪い官僚だか大臣だか本当にこの無謀なまでの米国重視の安倍政権にて、世界の混乱の片棒を担いでいたのは間違いない。

小さな資源の乏しい日本がとるべき道は、社会民主主義政策で、暖簾に腕押し法は国際政治でこそ本領発揮すべきことではなかったか。

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最高の首相などあり得ない幻想である。
しかし、最悪の首相は確かに存在する。

何を持って最悪かとは議論が分かれるところだとは思うものの、人権、そして人々の尊厳を奪い続けた首相のことは、いつまでも忘れない。それに心ならずも加担し続けた人たちのことも。

そして権力者の犯罪を犯罪として捌けない私たち市民の罪深さも。

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