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識者ら保存方法を提案 サン・ファンフォーラム 複数の具体策に拍手も

 サン・ファン号の保存を求めるフォーラムが13日、石巻中央公民館であり、ほぼ満員となる約80人が参加。県が解体方針を決めている慶長使節船ミュージアム(石巻市渡波)内の木造復元船「サン・ファン・バウティスタ号」の保存活動の経過報告と具体的な保存方法の提案に耳を傾けた。【本庄雅之】

 1月に10団体で結成した「サンファン号保存を求める世界ネットワーク」(白田正樹会長)が、6日の仙台会場に続いて開催。第1部で、演劇「黒船出航前日譚」(都甲マリ子作・演出)を上演。第2部で経過報告などを行った。

 最初に、保存運動弁護団の松澤陽明弁護士が、サン・ファン号解体への公金支出に異議を申し立てた監査請求が却下されたことを報告。「19日の県議会で予算が通らないようにしなければ」と現状を説明した。予算が議会で通った場合は、あらためて監査請求するか住民訴訟を検討していることを明かした。

サンファンフォーラム

経過報告した松澤弁護士(右端)

 横浜国大の平山清次名誉教授(造船工学)は、復元船の今後の在り方検討委員会が県に提示した保存方法の検討について「不十分だった」と指摘。係留されているドックの水を砂に置き換えて船体を補強した後、船底を固定する方法を提案。「ほかにも必ず方法はあるはず。サン・ファン号は、宮城だけでなく国の宝。国にも(保存を)働きかけるべき」と強調した。

 ふね遺産認定実行委員会の小嶋良一委員長は、国内外で古い木造船が屋内の乾燥した状態で保存されてきた例を挙げ、「水からあげる方法がいいのでは」と保存の可能性を示した。

サンファンフォーラム (2)

演劇でサン・ファン号の物語を紡いだ

 復元船を建造した村上造船の設計担当だった高橋國益さんは、客席で意見を求められ「外板はFRP(繊維強化プラスチック)、内側はウレタン発泡で固めれば、サン・ファンは残る」と強調。フォーラムでは複数の具体案が示され、会場からは拍手が沸いた。

 フォーラムを聞いていた美術講師の東城エリ子さん(60)は「原寸大で残さなければ意味がない。子どもたちに夢を語り継ぐためにも残して」。長沼利枝さん(62)は「なくすことは震災とダブって惜しい気がする。造船技術を残すためにも、全国から人の力を借りればいい」と話した。

 ネットワークによると、保存に賛同する署名は4千余り。当初31日までとしていた署名活動は4月以降も継続するという。


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