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商業捕鯨32年ぶり陸揚げ ミンククジラ 3頭連続 岸壁で歓喜 鮎川に活気

 石巻市鮎川を拠点に再開した商業捕鯨は11日、沿岸操業で捕獲したミンククジラ3頭を陸揚げした。昨年7月にIWC(国際捕鯨委員会)を脱退した日本は商業捕鯨に舵を切ったが、昨年は鮎川に揚がらなかった。鮎川での陸揚げは実に32年ぶり。捕鯨船が港に入ると住民は歓喜に沸き、「捕鯨の町」の再興に期待を寄せていた。【渡邊裕紀】

 今年の操業は7日が初出漁となったが、視界不良が続き、3回目の11日にいずれも仙台湾沖で(株)鮎川捕鯨(伊藤信之社長)の小型捕鯨船第3大勝丸が体長5.2メートルのメス、第8幸栄丸も体長5.7メートルのメスを捕獲。外房捕鯨(株)所属の第7勝丸は体長4.9メートルのオス1頭を捕まえ、立て続けに3頭を陸揚げした。

〇鮎川にクジラあがる (1)

ミンククジラをクレーンで引き上げた

 鮎川漁港には午後1時20分ごろ第3大勝丸が入港。船の姿が見えると、地域住民から喜びの声が上がった。調査捕鯨は胃の内容物を確認するため、捕獲した状態で港に運んでくるが、商業捕鯨では船上で内臓の下処理ができるため、赤肉の鮮度を保つことができる。

 船の接岸後、ミンククジラはクレーンで引き上げられ、トラックで岸壁に近い鮎川捕鯨の解体場に搬送。計測後、すぐに解体作業が行われた。鮎川浜で飲食店を営む石森政成さん(57)は「昔はクジラの解体作業が日常の風景だった。本当に懐かしく、これから新鮮な鯨肉が出回ることがとても楽しみ」と捕鯨の町の復活に思いを込めていた。

〇鮎川にクジラあがる (2)

2頭目のミンククジラも解体場に運ばれた

 今年はエサとなるコウナゴが不漁で、ミンククジラは代わりにイワシの群れを追って北上している。伊藤社長は「鮎川に陸揚げできるのは感無量。地域の人も集まり、鯨の町が実感できた。これで勢いをつけ、新鮮でおいしいクジラを提供していきたい」と話していた。13日は同社直売所で住民向けの販売会も実施した。

 鮎川港を拠点とするミンククジラ漁は、4月末ごろまで続くという。水産庁では今年の沿岸操業でのミンククジラ捕獲枠を100頭と決めている。

「生のおいしさ味わって」

 石巻市の鮎川港を拠点とする商業捕鯨で捕獲したミンククジラの赤肉が13日、石巻魚市場に入荷した。11日に陸揚げされた個体であり、競りでは高鮮度の赤肉が買受人の関心を集めていた。

商業捕鯨のミンククジラ32年ぶり魚市場に (99)

肉質を確かめ、買い受け人らが競り落とした

 捕獲された3頭のミンククジラのうち、㈱鮎川捕鯨が陸揚げした5.2メートル、5.7メートルの2頭のメスが同市場で取り扱われた。入荷量は153キロで、赤肉が100キロ、アバラは30キロなど部位ごとに並べられた。

 新型コロナウイルス感染拡大で飲食店の休業など需要も懸念されたが、赤肉は1キロあたり2800―4300円と例年並みの価格で取引。同市場の佐々木社長は「この時期だけに心配したが、想像以上の良い値。刺身などで生のおいしさを味わってほしい」と話していた。

商業捕鯨のミンククジラ32年ぶり魚市場に (118)

 (株)ウジエスーパーの三條史朗鮮魚バイヤー部長は「鮎川沖で獲れた新鮮な生肉だけに市場内の活気も違う。ミンククジラは人気が高いので、多くの人に楽しんでほしい」と期待を込めていた。


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