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全国の支援に感謝発信

石巻市 基盤整備「完結」式典

 東日本大震災の復興財源を活用した新しい街の基盤整備事業が昨年度で終わった石巻市は9日、マルホンまきあーとテラスで記念の式典を開いた。地元をはじめ国や県の関係者や、これまでの派遣応援職員らを招待し、約600人が出席。未曽有の災害の発生から再生の道のりを映像で振り返り、全国からの支援に感謝を発信した。

齋藤市長が式辞で感謝を発信した

 完結式典は石巻広域消防音楽隊の演奏で開幕し、出席者全員で震災犠牲者へ黙とう。齋藤正美市長が「今後も心の復興と地域コミュニティー再構築など一人一人が真の復興を実感できる社会の実現と心豊かな未来を見据えた地域作りへ市民一丸となって取り組む」と式辞を述べ、高木宏壽復興副大臣、地元選出の安住淳衆院議員らが祝辞を寄せた。

 平成23年3月11日にあった震災の津波で市沿岸部は壊滅的な被害を受け、関連死を含め約3900人が死亡・行方不明となった。市は同年12月に災害に強く安全安心でコンパクトな街づくりを目指した復興基本計画を策定。住まいと産業の再生を優先に復興住宅や市街地整備、農業・漁港施設の復旧、道路、下水道、震災伝承施設など基盤整備を進めた。

復旧復興に1兆2309億円

 石巻市の復旧復興費は、震災前の一般会計の約20年分に相当する1兆2309億円で、うち1兆171億円が基盤整備関係。人手が不足する中、118の自治体から延べ1772人(実数で約1千人)の職員派遣を受けた。

 式典ではこれらの事業の概要を関係者のインタビューを交えて振り返る映像を上映。さらに「わたしたちは石巻でいきてゆく:感謝そして未来へ」をテーマとし、学識者、国、県、市内各団体代表者が復興の基盤や地元の文化、伝統、産業を生かしたまちづくりについて意見を交わした。


「震災を忘れない」

地元知る記念行事も

 石巻市復興事業(基盤整備)完結式典に合わせ、市民が楽しめるイベントも催された。

復興の象徴であるまきあーとテラスにキッチンカーや出店が並んだ

 式典会場のまきあーとテラスでステージイベントがあったほか、屋外に約60のキッチンカーや出店が並び、平日でも昼時を中心ににぎわった。ほや雑煮、かき汁の振る舞いもあり、市立桜坂高校家庭クラブが調理や提供に協力。西大條奏音会長(2年生)は「多くの人に地元の料理を知ってもらえた。震災の犠牲と教訓があって今があり、忘れてはいけないこと」と話した。

 会場と石巻駅などを結び、新市街地や道路を窓から眺められる無料バスも運行。2人の妹と乗車した南中里の女性(75)は「まきあーとの博物館に来てみたかった。支援があっての復興。地元を知るいい機会」と変わる街を記憶にとどめた。

 市道路課に派遣されていた静岡県浜松市の青柳光範さん(46)は6年ぶりに再訪し、「自分たちが関わった事業が終わって安心した。皆が同じ方向を向き、良い街にしていってほしい」と願った。復興住宅課に2年いた仙台市役所の大塚将司さん(39)は「コロナで途切れたが、交流を続けたい」と縁を大切にした。【熊谷利勝】

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