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女川で初のテイラーカップ 女子サッカーの親善試合 遺志継いで夢かなえる

 国内外で活躍する女子サッカー選手による第1回「テイラー・アンダーソンカップ」が17日、女川町のWACK女川スタジアムで開かれた。東日本大震災の津波で犠牲となった米国出身女性で、外国語指導助手(ALT)、テイラー・アンダーソンさん(享年24)の名を冠した大会。チーム「テイラー」として集結した選手は、大会前日に石巻南浜津波復興祈念公園内にあるテイラーさんの名前が刻まれた石巻市の慰霊碑も訪れた。【泉野帆薫】

震災犠牲ALTの名刻む

 テイラーさんは「日米の架け橋になる」と夢を抱き、平成20年から石巻市の幼稚園、小中学校で英語の指導助手を務めていた。震災時は万石浦小学校におり、児童の下校を見届けた後、帰宅途中で津波に襲われた。フリーの翻訳者で大会の実行委員長、寺田美穂子さん(52)は「テイラーさんのように、それぞれの思いを胸に活躍を夢見る女子サッカー選手の後押ししたい」と名を冠した大会を企画した。

 チーム「テイラー」は国内外のプロリーグで活躍する日本人選手と、スペイン人選手計12人で結成。大会は食品軽包装資材の専門商社㈱高速=仙台市=が主催した。開会あいさつで女川町の須田善明町長は「テイラーさんの名を冠した大会を女川で開催できてうれしい。前を向いて震災のことを伝えるきっかけになれば」と述べた。

熱い戦いを繰り広げた選手たち

 親善試合はチーム「テイラー」が2―1でマイナビ仙台レディースユースを下した。聖和学園高校女子サッカー部出身で、三菱重工浦和レッズレディース所属の佐々木繭選手(30)は「震災時は埼玉におり、なんとも言えない気持ちになったことをはっきりと覚えている。今日の試合に未来のサッカー選手もいるはず。これからも女子サッカー界を盛り上げていきたい」と語っていた。

慰霊碑に献花する佐々木繭選手(右)

 一方、大会前日、チーム「テイラー」は震災遺構門脇小学校を訪問。リチャードハルバーシュタット館長の講話を聞き、震災の学びを深めた。その後は、復興祈念公園内にある慰霊碑を訪問し、献花と黙とうをささげた。
 昨年6月に女川で行われたチャリティーマッチに早稲田大学女子サッカー部として出場した井上萌選手(22)は「津波だけではなく、火災が発生した場所があることを今日初めて知った。私は今夏にスペインへ渡ることが決まっており、テイラーさんと同じく夢の途中にいる。チャンスを自分でつかめるように行動していきたい」と話していた。


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