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仮設商店街は全て閉鎖 雄勝、牡鹿も役目完了 新施設入居など道歩む

 東日本大震災後に石巻市内に設置された仮設商店街の「おがつ店こ屋街」=同市雄勝町=が30日、「おしかのれん街」=同市鮎川浜=は31日にそれぞれ閉鎖された。これによって市内に建てられた仮設商店街は全て役目を完了。入店していた店舗は、新しく整備された施設や他地域移転のほか、閉店を決断する店主もおり、あすからそれぞれの道を歩み出す。【渡邊裕紀】

 被災事業者らが入店した仮設商店街は市内に5カ所あり、石巻立町復興ふれあい商店街など3カ所は平成29年度までに閉鎖され、事業者は再建や廃業などを選択した。おがつ店こ屋街は23年11月に旧雄勝総合支所駐車場に設け、12店舗が軒を連ねた。その後、復興工事に伴い、28年に同上雄勝に移転した。

おがつ店こ屋街閉鎖式 (19)

澤村会長(左)から市に店舗の鍵が返却された

 30日にあった閉鎖式では、おがつ店こ屋共栄会の澤村文雄会長から市に店舗の鍵が返却された。澤村会長は「皆さんの支えで、きょうまで商店街を存続することができた。新施設では新たな心で進んでいきたい」と9年の歩みをかみしめた。

 雄勝総合支所の阿部徳太郎支所長は「地域に残ってくれたことに感謝したい。これからは観光で交流人口を増やしていきたい」と展望した。

 商工会や観光協会などを除く店こ屋街の6店舗中、3店舗は4月下旬に完成する地域拠点エリア「硯上の里おがつ」に移るが、残りの3店舗は移転や廃業などを模索しているという。仮設商店街は5月中に解体し、市は今後、跡地利用を考えていく。

おがつ店こ屋街閉鎖式 (37)

整備が進む地域拠点エリア「硯上の里おがつ」

 地域拠点エリアに移転する伝八寿しの加納竜司さん(50)は「住民だけの商売では成り立たない。今後は観光型のまちに変化することが不可欠。地域を挙げて努力していかなければならない」と気持ちを新たにしていた。

 一方、おしかのれん街も23年11月にオープンし、最大16店舗が入居していた。この9年の間に再建や移転、廃業で店舗は減り、昨年10月に観光物産交流施設「cottu(こっつ)」が開設したことに伴い、のれん街から3店舗が移転。31日の最終日まで営業した飲食店「上海楼」は、休業を経て地域の復興工事完了後に再建する考えだ。

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