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解体間近 見納め相次ぐ 復元船サン・ファン号 祝日は通常の3倍

 県が10日から木造復元船「サン・ファン・バウティスタ号」の解体工事を始めることを受け、雄姿を一目見ようと連日、係留先の県慶長使節船ミュージアム=石巻市渡波=を訪れる人が絶えない。現地では解体に向けた準備が着々と進んでいる。県は、来年3月末までに解体後、4分の1の大きさの繊維強化プラスチック(FRP)製の後継船を造り、令和6年にミュージアムのリニューアルとともに展示する計画だ。

県 4分の1大後継船建造へ

 4日、ミュージアムへの通りには「解体工事を始めました」と表記した看板が設置されていた。ドックに通じる道路には何枚も鉄板が敷かれ、重機が乗り入れる準備が整えられていた。この日、ミュージアムには見物者が訪れては写真に収める姿が見られた。いつもは閑散としていることが多い平日に、入れ替わり人が訪れた。

解体まじかのサン・ファン号(11月4日) (36)

サン・ファン号を眺める見物者

 同市南浜町出身で都内に住む尾形和矢さん(38)は、最近の報道で解体を知り、帰省した機会に両親らと訪ねた。「小学生の時に見たのを覚えている。当時はただ来ただけだったけれど、歴史を知ると残せないのかなと思う。維持費がどうとか言われると何も言えないけれど」と話した。

 仙台市から来た女性は「もったいないけれど仕方ないのかな。これまで維持してきた方たちの気持ちを考えると複雑。船内に入った時、案外狭く、このスペースに大勢の人が乗っていったんだなと実感できた。縮小した後継船では迫力が違う」。

 3年前に東松島市にUターンした菅野亘さん(64)は「これだけの施設をもっとPRすれば違ったのかも。すぐに壊さなくても」と残念がった。

 ミュージアムによると、解体公表を受けて3日の祝日は300人以上が入館、通常と比べ3倍の人出になったという。「具体的な日にちが出たので、名残惜しさもあると思う。解体中もミュージアムは開館しているので、足を運んでほしい」と話していた。

 一方、保存方法を十分検討せず、解体するのは違法として差し止め請求している市民団体「サンファン号保存を求める世界ネットワーク」のアンバサダー、都甲マリ子さんは「何ができるのか、会の皆さんと話し合いたい」とコメント。市民有志で結成した「サン・ファン・バウティスタ号を想う会」は5日、知事宛てに公開質問状を出し、あらためて解体に至る明確な説明を求めるという。【本庄雅之】


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