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「家に戻してあげたい」 女川海域で潜水士捜索 海上保安部 震災10年前に

 東日本大震災の月命日となった11日、宮城海上保安部=塩釜市=は女川海域で行方不明者の捜索を行った。県などによると、県内の行方不明者は1月末現在で1217人。潜水士は手掛かりを求めて海に潜り、岸壁では七十七銀行女川支店で行方不明となった行員の家族が見守った。【外処健一】

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行方不明者の家族らが海へ花をたむけた

 捜索は女川町の桐ケ崎漁港であり、同保安部の関係者と行員家族が黙とうした後、巡視船「くりこま」の潜水士7人が水深20メートルの海に潜った。昨年は新型コロナウイルスの影響で中止しており、捜索は2年ぶりとなった。

女川海中捜索

7人の潜水士が一斉に海に潜った

 潜水士は円を描くように横一列で海中を探り、午前午後合わせて約1時間40分活動。海底から固定電話、キャリーバック、子ども用の長靴、陶器の皿、漁業用の胴長の計5点を見つけ、回収した。

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捜索の結果、キャリーバックなど5点を発見、回収

 同町浦宿の高松康雄さん(64)は、パート先の同支店に勤務していた妻裕子さん(当時47)の行方が分かっていない。この日は厳しい寒さで時折、雪も舞う中、行員家族は岸壁から潜水士の捜索を静かに見守った。

 高松さんは「10年の区切りというが、私にとっては通過点。こうした中でも(同保安部が)忘れずに探してくれてありがたい。家に戻してあげたいという思いだけ。遺骨か、せめて何かの手掛かりが見つかってくれればいいが」と話していた。


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