見出し画像

男子バレー日本代表 故藤井さんの夢実現

石巻の小中学生に指導

 石巻市雄勝町出身で、男子バレーボール日本代表メンバーとして東京五輪でも活躍し、胃がんにより31歳で逝去した藤井直伸さんが生前、周囲に語っていた「地元にバレーで恩返しがしたい」という夢。この願いを実現しようと母校の古川工高バレー部OBと、所属していたVリーグ東レアローズ静岡が1日、石巻市総合体育館で市内の小中学生対象のバレーボール教室を開いた。東レの選手らが講師を務め、藤井さんの両親も教室を訪ねた。

石巻市を訪問した際の藤井直伸さん(中央)

 藤井さんは大須中でバレーを始め、古川工業高、順天堂大を経て東レに所属。日本を代表するセッターとして東京五輪に出場し、日本の29年ぶり8強入りに貢献した。その後に不調を訴え、「胃がん」を公表。昨年3月10日に逝去した。

母校とチームが思い継ぐ

 藤井さんは生前、周囲に「地元に恩返しがしたい」と語っていたといい、古川工OB有志が中心となって実行委を発足。東レも全面協力し、「私たちは藤井直伸のことを一生忘れない~心は一つプロジェクト~」と題した教室開催にこぎつけた。

 教室は東レの重藤トビアス赳主将、李博選手、気仙沼市出身の小野寺瑛輝選手ら5人で展開。古川工と石巻工業の男子バレー部員計約40人も補助員として協力し、小中学生約60人に教えた。

本気のスパイクを見せる東レの選手

 小学生はバレーの楽しさを体感してもらえるようにし、中学生はより技術的な指導を実施。トスやレシーブのコツを伝えた。3選手は手本で本気のスパイク(アタック)も披露し、高いジャンプから腕を振り抜き、ボールを豪快にコートにたたきつけるさまを見た子どもたちからは感嘆の声がもれた。

 藤井選手にあこがれていた河南バレーボールスポ少の佐藤晴人さん(向陽小6年)は「すごく楽しくて、勉強になる一日。藤井選手のように努力して強い選手になりたい」と話していた。

 藤井さんの相棒で〝東レのベストコンビ〟と呼ばれた李博選手(33)は「藤井の夢の実現に携われたことが誇り。彼がどれほどこの教室をやりたかったか、石巻の皆さんに知ってほしい。彼の熱い魂や思いを今後も受け継ぎたい」と語った。

 藤井さんの両親=石巻市あゆみ野=も客席から見守った。父の俊光さん(64)は「多くの皆さんの尽力のおかげで息子の夢がかなった。きっと喜んでいると思う」、母のみちえさん(58)は「感謝の思いでいっぱい。息子がバレーから学んだ諦めない気持ちを古里に伝えていきたい」と話していた。【山口紘史】

最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございました。皆様から頂くサポートは、さらなる有益なコンテンツの作成に役立たせていきます。引き続き、石巻日日新聞社のコンテンツをお楽しみください。