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それぞれの思いで後世に あすまで解体廃材配布 木造船サン・ファン号

 県慶長使節船ミュージアム=石巻市渡波=に係留されていた木造復元船サン・ファン・バウティスタ号の解体工事で出た廃材の配布が4日から始まった。解体を惜しむ声に応えて企画された。

 希望者は先着順に、ドック横に積まれた4つの廃材の山から自由に選んだ。廃材は主に船倉に使われていた柱や床材。長さ30~40センチのものから3メートル近いものまで全部で約2トン分用意された。

ほぼ船体の解体が終了した(5月21日撮影)

 一番乗りは、加美町文化協会「木彫りの会」の会員で釜神作家、土門順さん(73)。釜神は宮城県北部などに伝わる魔よけのお面。27センチ角の杉の柱を3本入手した土門さんは「今回は、あ・うんの木像を彫る。サン・ファン号は、伊達政宗が命じて作られた文化的に貴重な船。新たな命でよみがえらせたい」。かつてゼネコン社員としてミュージアム建設にも携わったことがあり、木像はミュージアムに贈呈するという。

 サン・ファン・バウティスタ号を想う会を立ち上げて保存に向けて活動してきた足立弦子共同代表(59)も訪れ、柱の角材を車に積み込んだ。「何を作るかは決めていないが、大事な石巻の宝。小学校などに寄付できるような作品になればいい」と希望を明かした。

選んだ廃材を運ぶ人たち

 東松島市から来た千葉耕平さん(27)は学生時代、舞台美術を経験したことから「いつか石巻で演劇を上演するときに使いたい」と平らな板を中心にもらい受けた。

 廃材は残っている限り5日午前9時半から午後4時まで配布するが、なくなり次第終了。なお、ミュージアムでは補修用に確保していた杉の木で製作した「想い出のティータイムトレー」(1200円)限定200個の販売を始めた。

 なお、サン・ファン号の解体工事は6日から再開される。【本庄雅之】





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