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自転車ヘルメット着用進まず

努力義務から1年経過 石巻西高 生徒会も啓発

 昨年4月に施行された改正道交法で自転車利用者のヘルメット着用が努力義務となって1年が過ぎた。石巻地方を含む全県で主要な利用層である高校生の着用は進んでいない。県警の調べで今年起きた自転車事故の2割が高校生で、未着用に伴う重傷化も確認されている。石巻署は15日、石巻西高校の生徒会とともにヘルメット着用と安全運転の呼び掛けを校門前で展開した。

 県警は5月を自転車を利用する高校生に交通ルールとヘルメットの着用促進を図る月間に位置付け、「自転車交通安全の日」の15日に県下一斉のキャンペーンを実施。石巻署は西高生徒会との合同門前指導とした。

 石巻署交通課と生徒会のほか、石巻地方の自転車店関係者も参加。自転車通学の生徒に対し、啓発チラシと反射板など計220枚を配った。併せて自転車のブレーキが正常に作動しているかなどの点検も行い、安全な通学をサポートした。

石巻西高生徒会が警察と着用推進に取り組んだ

 昨年9月に警察庁が公表した全国のヘルメット着用率は、愛媛県59・9%、大分県46・3%、群馬県43・8%だったの対し、宮城県はわずか10・8%。東北では最も高かったが、それでも着用率は1割。県警の分析でも、令和6年1―4月末の間に161件の自転車事故が起き、3人が死亡、159人は重軽傷(重傷27件、軽傷132人)で、ヘルメット着用率は15・4%。死者3人のうち2人が未着用で「着用していれば死亡に至らなかった」という。

見た目よりも命が大事

 高校生の着用が進まない理由の大部分を占めるのが、「髪型が崩れる」との声。努力義務という状況では、学校側も強制しにくい現状があるという。登校時の服装なども高校選びのポイントとなっており、ある高校では「学校単独で校則に着用義務を定めると、今後の募集定員への影響も懸念される」との声も。ヘルメット着用が浸透するよう、県教委、または圏域高校として足並みをそろえる対策が必要。頭髪の長さや色よりも、命に関わる防具の着用徹底を促すことが学校安全を確保する上で最優先事項となっている。

 群馬県では、高校ごとに生徒会中心で着用を発信した結果、一定の成果につながっており、石巻地方でも生徒会発信で着用の輪を広げることが普及への近道となりそうだ。

 石巻署の佐藤康治交通課長は「管内の高校でも着用が進んでいない印象を受けた。未着用での事故は重傷率が高いとデータでもはっきり示されており、普及に向けてヘルメットの効果を訴え、髪型よりも大事な命を守ろうと高校生に訴え続けたい」と話していた。【横井康彦】

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