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市町村長「3者協議」に一任 女川2号機 再稼働巡り 知事ら近日に同意表明へ

 東北電力女川原発2号機の再稼働に必要な「地元同意」の手続きを巡り、県内全35市町村長から意見を聞く会議が9日、仙台市内で開かれた。賛否双方の声があり、村井嘉浩知事は「この場で結論付けは困難だが、一定の理解は示された」と総括。立地自治体の須田善明女川町長と亀山紘石巻市長、村井知事との3者協議の判断を市町村長の総意とすることを提案して了承を得た。3者はこれまでも議会判断を重視する発言をしており、近日中にも開かれる3者協議では地元同意の意思を表明する可能性が濃厚とみられる。【山口紘史】

女川原発再稼働地元同意 市町村長会議実施 結論は3者協議後に表明の見通し (44)

全35市町村長が意見を交わした

 地元同意を巡っては9月に石巻市、女川町の両議会、10月に県議会がそれぞれ再稼働に賛成する請願・陳情を採択し、容認の姿勢を示してきた。9日の市町村長会議では、挙手制で首長から意見を聞いた。

 再稼働賛成の立場で熊谷大利府町長は「女川原発は厳しい審査基準に合格し、世界最高水準の安全が認められた」と力説。反対の立場では相澤清一美里町長が「重大事故時のリスクが大きい。避難道路整備や使用済み核燃料の処分方法など課題も山積」と指摘した。

「いずれの首長も立地自治体の考え方に理解を示していることが分かった」と述べた村井知事

「いずれの首長も立地自治体の考え方に理解を示していることが分かった」と述べた村井知事

 また、齋清志大河原町長は「石巻、女川の両議会、県議会の出した結果に寄り添う」、小関幸一七ヶ宿町長も「3者協議の決定を支持する」と立地自治体の意見を尊重する姿勢を見せた。

 「難しい判断を迫られている」と語った郡和子仙台市長は「広域避難計画に伴う受け入れ自治体に統一した指針を作ったり、道路を整備したりと避難計画の実効性をより高めていく必要はある」と注文を付けたが、賛否の明言は避けた。

「避難道路などインフラ改善が不可欠」と語った須田町長

「避難道路などインフラ改善が不可欠」と語った須田町長

 会議は予定の1時間を大幅に超す約2時間となり、半数以上の首長が発言した。村井知事は「全ての意見が正論であり、いずれの首長も立地自治体の考え方に理解を示していることが分かった」と述べ、3者協議の結論を全市町村長の総意とすることを提案し、同意を得た。

 会議後の取材で村井知事は「各議会が重い判断を下したことは皆が理解しており、3者協議の結論を総意としても問題ないと思い提案した」と語った。

「避難計画の実効性を高める必要がある」と話した亀山市長

「避難計画の実効性を高める必要がある」と話した亀山市長

 須田町長は「避難道路などインフラ改善が欠かせず、これを着実に実行するという県の姿勢を受け止めながら私の考えを明らかにしたい」と強調。亀山市長は「安全性が第一であり、避難計画は実効性をさらに高める必要がある。市議会の判断も重く受け止め、判断したい」と語った。

 女川原発2号機は今年2月に原子力規制委員会の審査に合格。東北電力は安全対策工事が完了する見込みの令和4年度以降の再稼働を目指している。



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