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取材で学ぶ歴史と伝統 石巻日日こども記者 雄勝、牡鹿の産業理解

 小中学生が記者体験を通じ、地域の復興と未来を考える「こども記者が行く!新しい海のまち」(石巻日日新聞社主催、東北電力宮城支店協賛)が12日、石巻市雄勝、牡鹿の両地区で開かれた。産業、観光の取材で間もなく東日本大震災から10年となる地域の歩みに触れたほか、女川原子力発電所PRセンターでは暮らしに欠かせないエネルギーの在り方も考えた。子どもたちの記事は来年3月11日発行の「石巻日日こども新聞」に掲載される。【外処健一、渡邊裕紀】 

震災10年 地域と向き合う

 石巻市では5月に雄勝、7月には牡鹿の各拠点エリアが完成。震災10年を前に地域の中核施設が整い、産業観光面で新たなスタートを切った。雄勝を取材した阿部壮汰君(渡波小2年)、小俣渓志郎さん(矢本二中1年)は雄勝硯伝統産業会館で硯の歴史や技術について学んだ。

 硯は大きく分けて和硯(わけん)と唐硯(とうけん)の2種類があり、墨を擦る部分は陸や海など独特な名称が付く。会館では実際にのみを使って雄勝硯の製作も体験。地元産の玄昌石に刃を当て、全身を使って石を彫り出した。

雄勝班 (211)

映像で硯の特徴などを学んだ(雄勝)

 阿部君は「硯作りの修業が10年かかると聞き、厳しい世界だと感じた」、小俣さんも「製作作業はとても貴重な体験。彫るには力加減が重要であることを知った」と語り、伝統を守っていく大切さを学んでいた。

 一方、牡鹿の観光施設「おしかホエールランド」は、平塚蓮琳さん(向陽小5年)、高橋瞭輔さん(蛇田小5年)が取材。全長17メートルのマッコウクジラの骨格標本や古式捕鯨で用いた刃物などの道具、生態を学ぶ映像シアターを通じ、地域と共に歩む産業に理解を深めた。

 クジラとイルカの違いは体長4メートルが境であることやクジラはハクジラ、ヒゲクジラの2種類に大別されることを知った。また、ハクジラの指の骨は人と同じ5本、ヒゲクジラはおおむね4本であることを学び、2人は学芸員に質問しながらメモを取った。

こども記者が行く!新しい海のまち_鮎川班 (21)

学芸員からクジラの生態などを聞いた(牡鹿)

 平塚さんは「石巻市の知りたいことが増えた。また機会があれば参加したい」、高橋さんは「しっかりと取材でき、クジラが頭に蓄える脳油の話しが印象的だった」と語り、2人は半島の暮らしにも興味を示していた。

 同PRセンターでは両地区を取材した子ども記者が合流。館内見学でエネルギーの未来を考えた後、取材メモからキーワードを抜き出し、1日の活動を記事にまとめた。子ども記者の記事は、公益財団法人こどもみらい研究所が発行する「石巻日日こども新聞」の3月11日号に掲載される。


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