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石巻日日新聞

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石巻市・東松島市・女川町の話題を掲載している夕刊紙「石巻日日新聞」のnote版マガジンです。とっておきの地域情報と過去記事などのアーカイブ。無料と有料記事があります。ぜひぜひフォ…
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2021年12月の記事一覧

暮れゆく令和3年 始まるウィズコロナの時代 命つなぐ「石巻かわみなと大橋」

 初代仙台藩主の伊達政宗の命を受け、川村孫兵衛重吉(1575―1648)は北上川を改修し、港町・石巻の礎を築いた。河川舟運の発展で河口部は川湊としてにぎわいを生み、まちを大きくさせた。それから約400年後、東日本大震災の津波が川を溯上(そじょう)。無堤地区だった中心市街地は甚大な被害を受けた。  石巻市は川と共に成長してきた経過を踏まえ、復興は安全に水辺に親しみながらにぎわいを取り戻す〝かわまちづくり〟を進行。津波、高潮対策で河川堤防を整備するなど孫兵衛の大改修以来となる大

100年先も続く施設へ 石ノ森萬画館 開館20年 まちの象徴

 石巻市の観光拠点の一つ石ノ森萬画館=同市中瀬=は、7月23日に開館20周年を迎えた。「マンガの街石巻」を象徴する同館は、多くの魅力あふれる特別企画展を開催し、2月に来館者累計350万人を達成。県内外にファンを持つ人気の施設となっている。コロナ禍で中止となったイベントも多かったが、6月にマルホンまきあーとテラスで開かれた「アニメージュとジブリ展」と連動した企画展では、相乗効果で全国から訪れる人たちを楽しませた。  石ノ森萬画館は、平成8年に始まった石巻マンガランド構想が発端

精巧な巨大砂像が完成 時の歯車動かす「鼓動」 保坂さん・キボッチャで展示

 東松島市地域おこし協力隊で、砂像彫刻家の保坂俊彦さん(47)が防災体験宿泊施設キボッチャ=同市野蒜=敷地内で制作してきた砂像「鼓動」が完成した。25日のお披露目会は、雪化粧も加わった迫力と立体感で市民を驚かせていた。  保坂さんは当初、10月末にキボッチャで開催予定だった「なないろの芸術祭」で、全国から10人の砂像制作者を集めたサンドアート全国大会を行う計画を立てていた。しかしコロナ禍で延期となったため、大会のために用意した砂150トンや資材を使い、同芸術祭につなぐものを

街に笑顔のプレゼント 笑い学会石巻支部 サンタになって大行進

 クリスマスイブの24日、約20人のサンタクロースが石巻市の中心市街地を歩いた。赤い衣装と白いひげでサンタに仮装したのは日本笑い学会石巻支部の市民ら。新型コロナの影響を受ける街を笑いで元気にしようという取り組みで、プレゼントをもらった人から笑顔がこぼれた。  笑いとユーモアに関する研究と笑いの文化的発展を目的とする同学会が、「笑いサンタの大行進」と題して初開催。出発地の石巻駅前では新聞記事を見て集まった親子が待っていて一斉に駆け寄っていった。子どもらは菓子の詰合せをもらった

犯罪、事故にもコロナ影響 事件この一年 意識と備えで治安維持

 全国で刃物を使った犯罪や不特定多数を巻き込む凶悪犯罪が増加した。県内でも子ども園に刃物を持った男が侵入する事案があり、石巻圏域の保育施設などでは不審者対応の強化が迫られた。石巻署管内では、飲食店での酒類提供が再開されて以降、酒が絡んだ粗暴犯、飲酒運転が急増。特殊詐欺被害も相次ぐなど、下半期は慌ただしい情勢となった。  石巻署管内における刑法犯認知件数は、11月末時点で605件(前年対比145件減)と、昨年より治安が安定したように思えるが、その中でも9月20日に東松島市矢本

ガンプラで広がる個性 男女15人が制作 巣ごもり需要で人気

 プラモデルを作りながら交流を深める「おとなのガンプラ」が17日、石巻市中央のみやぎ生協文化会館アイトピアホールで開かれた。市内外から男女15人が参加し、会話を弾ませながら持ち寄ったプラモデルを作った。  趣味など共通の遊びで交流するマホロバプロジェクト(阿部拓郎代表)の主催。平成30年から始まったイベントで、コロナ禍で休止していたが、感染者数が小康状態となったことで再開。平成31年1月以来、5回目の開催となった。  40年以上続く人気アニメ「機動戦士ガンダム」シリーズの

海洋異変 資源転換期か 水産この1年 全国行事で魚食普及発信

 今年の水揚げは2年連続で春漁の主役であるコウナゴの漁獲が皆無となり、秋はサンマが振るわず過去最低を更新。コロナ禍で飲食店の消費減も響き、魚価も下がった。一方でイワシやサバは好調となったが、海水温の上昇で暖水性のタチウオなど「新顔」が目を引き、取れる魚は明らかに変化してきた。石巻市では全国豊かな海づくり大会、全国鯨フォーラムがそれぞれ開かれ、全国に魚食文化を発信するなど注目を集める1年となった。  コウナゴ漁は4月7日に解禁されたが、石巻魚市場への水揚げはなく、同26日には

保存案の検討なき解体 サン・ファン号 4分の1後継船展示へ

 「サン・ファン・バウティスタ号」は、なぜ解体されなければならなかったのか。県慶長使節船ミュージアム=石巻市渡波=に係留中の木造復元船は11月に3本のマストが撤去され、たてがみを刈られたライオンのごとく痛々しく見える。老朽化を理由に、県が原寸大での保存を断念して4年。修復、保存が可能とする案が急浮上したが、検討されることなく解体工事が進められた。  県知事選で宮城では過去最多タイとなる5選を果たした村井嘉浩知事。11月1日の当選後最初の定例会見で、サン・ファン号の解体工事を

サンタ リヤカー引く 東松島市上区自治会 今年も区民にプレゼント

 東松島市の上区自治会(山﨑恵章会長)の役員4人が19日、地区の121世帯をリヤカーと軽トラックで回り、菓子を詰め合わせたクリスマスプレゼントを配り歩いた。  コロナの影響で地域や自治会イベントの中止が相次いだことを受け、「師走に少しでも楽しんでもらえれば」と同自治会が企画。昨年末に続き、2回目の実施となった。菓子は地区内の公園整備委託費や市社会福祉協議会の助成金などを活用。1世帯に1袋ずつ用意した。  山﨑会長(66)や副会長ら役員は、サンタクロースの格好をしてリヤカー

震災の記憶胸に駆ける 聖火リレー 復興五輪 コロナ禍で薄れ

 東京五輪はコロナ禍で1年延期を経て今夏行われた。復興五輪に位置づけられ、それを象徴する被災地での聖火リレーが石巻地方でも6月19―20日にあり、総勢63人(石巻25人、女川22人、東松島16人)が走行。復興した地域の姿と、厚い支援への感謝を国外に発信した。コロナ禍で最後まで開催に批判的な声もあり、復興五輪の意義もかすむ大会となったが、石巻市で合宿をした選手団との交流や地元出身選手の活躍など、わずかだが、五輪の空気を感じることもできた。  121日間かけて全国の市区町村を巡

心の復興、産業再生道半ば 東日本大震災10年 節目でなく通過点

 石巻地方で6千人近くが犠牲、行方不明となった東日本大震災から、10年が過ぎた。復興工事は残り、延長戦の第2期復興・創生期間に突入。昨年からのコロナ禍が、経済再生や新たな住まいで生活を始めた人たちの心の復興を妨げる。そうした中、石巻南浜津波復興祈念公園などが開園し、教訓を発信していく取り組みも本格化した。  石巻地方では津波などで4937人が犠牲になり、696人が行方不明のまま。長い避難生活で体調を崩すなどした関連死は364人にのぼる。県内は約1万2千人が死亡・行方不明にな

小松さん銀幕でも変身 映画・仮面ライダー 観客「石巻の誇り」

 石巻市出身の俳優小松準弥さん(27)が出演している映画「仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ」(柴崎貴行監督)が17日に全国公開され、イオンシネマ石巻では4回の上映で約100人が鑑賞。入江悠人総支配人は「初日としては寂しい数字ではないが、これからに期待」と手ごたえを口にした。  小松さんは、小さい頃の夢がかなって、放送中のドラマ「仮面ライダーリバイス」(ミヤギテレビ、日曜午前9時)にレギュラー出演。悪と戦う特務機関フェニックスの隊員門田ヒロミ役を務めている。  今

中心部観光地化でにぎわい創出 女川町 「楽しい、面白い」詰め込む

 震災後、女川町は原状復旧にとどまらない新しい港町再生に公民連携で臨み、「身の丈に合う」独自の地域づくりを推進してきた。駅前や海岸広場など作り上げた空間を生かし、町民も観光客も「何だか楽しい、面白い」を享受できるまちを目指してきた。これを後押しするかのように、今年は国の重点道の駅に指定された駅前商業エリアが「道の駅おながわ」として開業した。今はコロナ禍のため難しいが、いずれ交流人口拡大のさらなる起爆剤になりそうだ。  町内にはJRや国道398号、離島航路ターミナルなどさまざ

過疎指定逆手に移住促進 東松島市 2期目の渥美市長けん引

 「住み続けられ持続・発展する東松島市―地方創生のトップランナーをめざす―」を将来像に掲げ、第2次総合計画後期基本計画(令和3-7年)の初年度をスタートさせた東松島市。渥美巖市長が再選し、市議会は元職、新人5人を加えた新体制で、人口減少対策など持続可能な地域づくりに歩みを加速させた。その一方で国から旧鳴瀬町が過疎地域に指定されており、地域の持続に向けた明確な対策が求められる状況となった。  同市として地域の過疎指定は初めて。総務省が公表した昭和50年の鳴瀬町の総人口は1万1