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私の妖怪



今月は特に抑うつ症状が酷い。


あと数日で生理が始まったら、メンタルの方は解放される予定だけど、今度はフィジカルケアが必要になるといういつもの流れに入る。


少しずつ認知度が広がって来たとは言え、まだまだ理解して頂けない事も多いPMDD=月経前不快気分障害。
個人差はあれど、端的に表現するなら、生理前後の期間限定で毎月訪れるうつ病だ。


私の場合PMDDという症状は、20代から卵巣嚢腫という爆弾と共にお付き合いしている症状だ。これはもう頼んでもいないのに毎月律儀に狂いなく訪れる。とても軽い月から命の危険を感じる位重たい月まで様々だ。

この生理前後の心身不快期間じゃない自分を【普通の自分】と定義するなら、明らかにPMDDの人格はその普通の自分と乖離している。自称、大らかで明るくポジティブでガッツのある性格の私(テヘペロ!)は、その期間だけは鬼か悪魔かネガティブを極めた妖怪の様などろどろヘドロメンタルになる。

私の場合特にキツイのは、小さな事で家族や恋人にヒステリックに当たり散らしてしまう後にやって来る自己嫌悪と、どんなに気をつけて工夫をしても仕事でミスをしてしまう事だった。今よりまだまだ男社会風潮だった職場で、肩を並べなくてはならないと思ってた若き日の私にとっては、生理にまつわる全てがとにかく憎き存在だった。ピルや漢方、怪しい民間療法を試したり、とにかく妖怪を排除する為に色々な事に手を出した。結果、妖怪は今も律儀に顔を出してはくるけど、私の場合はヨガがとても効果を感じられるので今も続けている。何をしても個人差がある以上、絶対これ!という解決策はない。やっと見つけたヨガでさえ、先月の妖怪には効いたけど今月の妖怪には効かなかったりする。
そうやって自分を騙し騙し過ごし気がついたら18年近く時が経っていた。


最近はSNS等の影響もあり、まだまだ少ないとはいえ、少しずつPMDD について発信してる情報を目にする事も増えて来た。
そこで時折、〈様々な不快な症状は病気のせいであって、貴方のせいではない〉的な励ましを受けたり目にしたりする事がある。「そうか妖怪は本来の私ではなく、病気が生み出した産物だから自分を責めなくてもいいのか。」そう考えると確かに救われる。
無理をしない事や、好きな事をしてストレスを減らす事は大切だし、妖怪達の出番を減らせるならそれに越した事はないのかも知れない。  

と同時に現代社会、生きる為に生かす為にギリギリで働いている私達世代に自分を大切にする余裕が持てるチャンスは余りにも少ない。

事実、乱暴な言葉を発してるのは私の口だし、絶望感から涙を流しているのも私の瞳、仕事でミスするのも私で、眼鏡を頭にかけたまま無い無いと探しているのも私。
つまり、妖怪も私の一部。
私のせいじゃ無いといえば、ホルモン調整が生理前にちょっとアレだという点だ。
え?
それも私?
ぐーるぐる。

の繰り返し。

妖怪ことPMDDの恐れるは、ありとあらゆる人間関係にまで影響を及ぼす力があるという事。
多分その波は地球の裏側まで届いている。

何処かの助産師さん曰く、今現在生理のある100人中5人はPMDDに苦しんでいるそうだ。
性差医療がやっと小さな芽を出し始めた様なこの世に、ことの重大さに社会を巻き込んで知って貰うにはどうしたらいいか。
はたまた知らせない方がいいのか。



一般論は分からないけど、今は自分にとって楽な方を迷わず選んでいいと思える様になった。
それは大きな前進だと思う。
私は周りに先に知っておいてもらう方が楽なので、性別関わらず言っておく事にしている。

生理前後にイラついててもそれは聞き流してとか。
調子が悪い時は車の運転はしない様にしているよとか。
寝転んでダラダラしている訳じゃなくて、上から横綱級の何かに乗られているから起き上がれないこととか。
ギャル曽根と張れるくらいの食欲が出る事とか。


その時の反応で理解してない人が浮き彫りになるのでこちらも対応しやすいし、何なら周知してもらうチャンスかもしれない。


PMSやPMDDに関わらず、人はホルモンの誤作動という自然災害に見舞われてしまう可能性が誰にでもあるということ。その症状の多くは目に見えなくて表現が難しい類の症状であるという事。

自然災害に見舞われた私たち当人は、少しでも自分の妖怪と歩み寄れる方法を探し歩く事を諦めないでいたいし、諦めそうな時があれば寄り添いたいと思う。

追記
生理が終わると、当人は疲弊はしていますがダムが決壊したかの様に、今月もお付き合い頂いた周りの方々に深く感謝が溢れ出します。だからどうか多少煩わしいとは思いますが、各々の毎月の妖怪を優しく見守って頂けたら幸いです。

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