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アルモンデごはん 11月の上弦から満月に向かって

作り置きはしないけれど、食べきれなかったものが毎日少しずつ溜まっていきます。冷蔵庫に保存容器が積み重なってきたら、ひとさらごはんの出番。数日間のおかずを並べた一皿をみると、数日間の私のことがよくわかります。時間の余裕があったみたいとか。疲れて優しいものが食べたかったみたいとか。がっつりした味で元気を出したかったみたいとか。
どうやら先週は穏やかな日常だったみたい。今週はどんな日々かな。


上弦から満月にむかうごはん

<11月20日>

ぶりは照焼きだけじゃない

今年の秋冬はすっかりブリに夢中。でも定番のぶり照りは一度も作っていません。蒸したり茹でたり揚げたりばかり。特にぶりカツがお気に入りで、もう何度も食べています。
この日は前日に友人から「明日ごはんを食べにいくよ」と連絡をもらっていたので、これを食べてもらおうって決めていました。ぶりって揚げても美味しいんだねと喜ぶ友人に、美味しいでしょ?としつこく聞いて苦笑される私。外はカリッと中はほわほわなぶりカツを頬張りながら、笑い合う夜でした。元気チャージ完了!


<11月21日> 

普段のごはん

先週末から日々作っていたものが、少しずつ余っていたので、一皿に盛ってみました。日々のひとさらごはんです。時計回りに、奈良漬、大根の醤油漬け、春菊の胡麻和え、にんじん柚子ラペ、蓮根とピーマンの塩炒め、茹で豚わさび醤油。おいしすぎない、力の抜けた普段のごはん。数日前からの私は穏やかに過ごせていたのだと、この一皿を見るとよくわかります。時間をかけて作ったものが一つもない笑!でも慌てて作ったものもない。
時間をかけて作ったものばかりがいいわけでも、慌てて作ったものが悪いわけでもなくて、ただそういう日々だったんだと知るだけでいいんです。よしよし、悪くないぞ自分。


<11月22日> 

蒸す蒸す蒸す

10年ほど愛用してボロボロになっていた蒸篭を手放したのが、去年の冬。そして今年新しい蒸篭を購入しました。以前のものは杉製でしたが、耐久性を重視して今回は竹製の蒸篭をチョイス。杉の香りがあんまり得意じゃなかったという理由もあります。結果、竹製が私にとっての大正解でした。
蒸篭が届いてからというもの、蒸すのが楽しくて楽しくて仕方ない。私に必要な台所道具なんだなぁと改めて感じています。この日は大量に職場からもらってきた長ネギの青いところの上に、タラと柚子をのせて蒸しました。重ねて蒸しただけ。それがもう美味しくて美味しくて。
やっぱり寒い冬は蒸しものよね。蒸しものが美味しい冬って最高よね。


<11月23日>

焼豚(タレの)ラーメン

先日お安くなっていた豚もも肉で焼豚を仕込みました。塊肉の料理につきものなのが、茹で汁。茹で汁は出汁。焼豚を仕込むと必ず作るのが、その出汁を使ったラーメンです。豚肉の茹で汁と焼豚のタレ、醤油を合わせただけなのに、いい味出してくれるんです。そうそう、我が家のラーメンに欠かせないのは玉ねぎ。みんなのおうちでも入れているのかな。
麺が茹で上がる寸前に粗みじん切りにした玉ねぎをたっぷり入れて3秒数えたら、麺と一緒にザルに揚げます。ほんのちょっとだけ熱を加えた半生玉ねぎは、シャキシャキなんだけど辛味が和らいで食べやすい。この半生玉ねぎが口の中をリセットしてくれるからかな?気づけばスープまで完飲しちゃってました。でも罪悪感はありません。茹で汁だもん!


<11月24日>

初めての味ホホップ

食に全く関心のない友人が「これ食べてみたいんだ」とみせてくれたのは、ホホップというアルメニア料理でした。鶏肉をざくろと煮込んだ料理。ざくろが手にはいったら絶対作ろうと思っていたのですが、さっそくお気に入りの多国籍スーパーで発見!友人に振る舞うための予習に取り掛かりました。材料は鶏肉と玉ねぎとざくろ(最後に風味づけのディルとパクチー)のみ。味付けも塩とざくろがほぼほぼで、少しクミンパウダーを入れるというシンプルな料理ですが、これがもう…美味しかった!
ざくろの効果で鶏肉が柔らかホワホワに仕上がって、果汁は甘みと程よい酸味のソースにもなっていて最高。ざくろってすごい調味料だったんだということを初めて知りました。果物を使った料理に疎いので、新たな味に出会えたことが嬉しかったな。友人、ありがとう。


<11月25日>

芯のある優しさ

焼豚を仕込んだ際の茹で汁でつくった、最後の料理は大根とがんも煮です。下茹でした大根とがんもを、茹で汁+塩+ちょびっと醤油で5分ほど煮込んだら粗熱が取れるまで放置。休ませている間に味が染み込んで、いい感じのお味に仕上がります。待つのも料理の大切な工程なんですよね。豚の茹で汁やがんもの出汁をたっぷり吸った大根はもう最高。どんなに出汁や他具材の味を吸い込んでも、絶対にらしさを手放さないのが大根です。実はかなり主張の強い野菜じゃないかな。誰色にでも染まるけれど自分らしさは決して無くさない、そんな芯のある周りを受け入れる優しさをもつ大根が大好きです。

<11月26日>

食べおさめ

毎年恒例、地元の友人家族が主催する収穫祭に行ってきました。友人の父親は自然薯農家さん。友人がお父さんの自然薯の美味しさを多くの人に知って欲しくてスタートした収穫祭も、今年で10年目なのだそう。記念すべき1回目にとろろ弁当を出してから、私もあれやこれやで参加させていただいてまして。今年は焼き芋屋さんアシスタントをやりました。出店者の皆様もお客さんも友人家族もみんなフレンドリーで優しくて、類は友を呼ぶってこういうことだなっていつもいつも感動してしまいます。
毎年楽しみにしている、蕎麦打ちの会さんの打ちたて自然薯蕎麦。美味しかったなぁ。お隣のブースはハチの専門家さんの蜂蜜屋さん、後ろはこんにゃく屋さん。お互いの店の呼び込みをしたり、美味しいねと褒めあったり、あったかいお祭りでした。この収穫祭も今年で最後だと友人から聞いていたので、帰り道は寂しかった。コミュニティや繋がりについて考えさせられる1日でもありました。お互いの得意を持ちあって、楽しむ場所があるっていいな。

繋がりという言葉が最近のキーワードのようです。私にとって。
料理も暮らしも人間関係においても、繋がりを感じることが多い日々です。一人でいても寂しさを感じないのは鈍感なこともあると思うけど、誰かや何かと繋がっている感覚をいつもあるからなんじゃないかな。そう気づいたのと同時に、じゃあなんで私はそれを感じられているのかなと疑問に思ったんです。ノートに書き出しながら、毎日自分の感情を掘り下げている中でひとつはっきりしたのは「手をかけた分、心を配った分、必ず応えてくれること」を持っているからなんじゃないかということ。私にとってはそれが料理なんですよね。その逆も然りなのですが(手を抜いた分も雑に扱った分も必ず返ってくる)、だからこそ自分が今どんな状態にあるのかに日々気づくことができています。焦っているのか、疲れているのか、穏やかなのか。料理がなかったらこんなに穏やかに暮らせていたかな。
こんなふうに感じているのは私だけじゃない、そんな気がしています。同じような感覚を持っている人とゆっくり話をしてみたいな。






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