食べるの始末「里芋」
ひびのわという屋号で、月に1回レシピのない料理教室をしています。
年間の大きなテーマをきめて、毎月それに沿った内容のクラスをする、というのが今のひびのわのスタイル。
ちなみに昨年の年間のテーマは、「基本の調味料さしすせそ+α」でした。
2021年はどうしようか…と考えていた昨年末、母との会話の中にあった、「始末が悪い」って言葉にピン!ときちゃいまして。
「始末」とは
①物事の始めと終わり。始めから終わりまでの細かい事情、または成り行き。
② ある物事の最終的な状況。特に、よくない結果。
③ 物事の締めくくりをつけること。後片付けをすること。
④浪費をしないように気をつけること。また、そのさま。
〜デジタル大辞泉より〜
今年のテーマは、特に①と④の意味合いを強めな『食べるの始末』にきめました。
私の料理クラスは、事前にレシピを用意していません。
決めているのはテーマだけ。
当日用意した、旬の野菜と乾物、信頼する調味料をみんなで手に取り味見しながら、何をつくるか相談していくスタイルです。
(実際のクラスはヴィーガン仕様です)
前日は「あれつくろうこれつくろう」と妄想しても、98%違うものを作って食べています(笑)。
それが楽しくて、醍醐味でもあるのですが、帰り道に「あれもみんなに食べてほしかったなぁ」という思いが残るのも事実。
ならば、noteにメモしておこう。
ということで、『食べるの始末note編』を8のつく日にアップしていきます。
初回にとりあげるのは、芋類の中で一番大好きな「里芋」。
この時期のクラスで必ず用意する野菜のひとつなんですが、聞いてみるとみなさんあんまりご自宅で調理しないんですよね。
皮を剥くの面倒くさい、皮がごみになって嫌、ぬるぬるして扱いづらい、等々。
理由は色々あるようですが、とかく嫌われがちなのが皮。
皮=ごみ!?いやいや、実は結構美味しいんです。
ということで、皮は炒めて中は煮て、ぜーんぶ食べちゃいましょう。
まず。
里芋って剥きづらいですよね。
毛がぼーぼーで、包丁に絡みつくし、皮を剥くとぬるぬるだし。
そこでちょっと下準備。
調理する少し前に、たわしで軽くこすり洗して少しそのままおいておくんです。
たわしで洗うと、毛がほぐれます。(なければ手でよーく洗ってください)
半日も置いておけば、乾燥します。
里芋を買ってきたら、まず洗うだけ洗って、乾かしておくといいかもしれません。
毛が整って乾燥すると、包丁がするすると進んで、ぬるぬるもさほど気にならなくなっちゃう。
私達の髪の毛が、ドライヤーとブラッシングをすることで扱いやすくなるのと一緒ですね。(ですね?)
(左が洗ってすぐ、右が洗って半日ほど置いたもの)
ちなみに、里芋は上のように俵型の扱いやすいものばかりじゃなくて、しずく型の剥きづらいものも多いので、それは半分にカットしてから剥きましょうね。
普段食べている、もち肌な里芋さんはこちら。
これは後で煮物にしますが、まずは皮を調理している間、水を張ったボウルに入れておきましょう。
さて、今回はきんぴらをつくるので皮は毛並みに沿って細切りにしておきます。
茶色だけだと寂しいかなとおもって、人参も同様に細切りで用意しました。
ここまできたら、あとは普段のきんぴらとおんなじ作り方です。
フライパンにごま油を引いて、まずは里芋の皮を炒めます。
その時ひとつまみの塩をふると、土臭さと水分がとんで仕上がりがよくなります。
里芋の皮が油でコーティングされたら、人参を加えてもうひと炒め。
人参にも油がまわったら、みりんを加えて強火にしアルコールを飛ばします。
量は具材が1/3浸るくらい。
みりんをいれたらいじらずに。
少しとろみが出てきたら、醤油を加えて煮詰めていきます。
醤油は少しずつ加えながら、お好みの甘じょっぱさにしてくださいね。
水分がとんだら出来上がり。
私は仕上げにごまをたっぷりあわせるのが好きです。
里芋の皮を少し厚めにむいておくと、皮のパリ感と少しついた実?の部分のねっとり感を両方楽しめて、なお美味しい。
この日、剥いたほうの実?は塩麹に漬けていた手羽先と一緒に煮ました。
こちらもとっても簡単で、里芋を少し焼き色がつくまでお好みの油で炒めて均等に広げたら、その上に手羽を重ねて乗せて(塩麹はふき取らないで)、芋が半分隠れるくらいの料理酒と鍋ひとまわしのみりんを加えて、アルコールを煮飛ばしたら蓋をしてコトコト煮るだけ。塩味は手羽についているので、少しの甘みをつければOKです。
味が染み染みでねっとりな里芋と、塩麹で柔らかくなった手羽がたまらぬ美味しさ。
きんぴらと煮物、ご飯にみそしるがあればもうそれで十分。
里芋を食べきる食卓。
里芋の始末。
最初のちょっとの手間、洗って乾かすをすればゴミもなし。
余談ですが、皮を調理するのが面倒になってしまったとしても、一度乾かした皮は洗ってすぐのものよりずっと小さくなっていますし、水分も飛んでいるのでごみになっても燃やすために必要なエネルギーは少量ですみます。
でも…できれば全部食べてほしいな。
皮は素揚げにして塩を振ってもよし!
揚げたてはあの「毛」こそが美味しいんです。
食べるの前にはつくるがあって、その前には選んで買うという自己選択があります。
食べるの後には捨てると出すがあって、その全てにはエネルギーが必要です。
食べるは選べるからこそ、始末よく。
頑張りすぎず、楽しく美味しく、始末よく。
食べるの始末、続けていこうと思います。
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