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アルモンデごはん 「知る」ことは、「感じる」ことの半分も重要ではない

レイチェルカールソンの「センスオブワンダー」を初めて読んだのは、20代前半の頃だったかな。彼女の作品で最も有名な「沈黙の春」にある絶望感とは真逆の、光に満ち溢れた言葉たちに救われたことを覚えています。そんな大切な作品の新訳が出たのは、今年の3月。訳者は「数学する身体」を読んで以来、ファンだった森田真生さん。彼の訳と追記のエッセイには、微かだけれど確かにある未来への希望と自分への信頼に溢れていました。
センスオブワンダーは、神秘さや不思議さに目を見はる感性のこと。新訳を読んでからずっと、センスオブワンダーをテーマにした何かをやりたいなって考えていました。それが叶った2024年の夏至を忘れることはないでしょう。



<6月17日>

ジャックフルーツLOVE

6月は母の誕生日と両親の結婚記念日と父の日、イベント盛りだくさんな月です。全部まとめてお祝いするために帰省していました。この数年は万全の体調とは言えない父も、一緒に外食を楽しんでもらえてよかった。欲しいものある?と聞いたら「スマートウォッチが欲しい」と食い気味に答えた父のために、電気屋さんのハシゴまでしちゃいました。歳の割にはかなりデジタルに対応しているとはいえ、父でも扱えるものを探すのは一苦労。使い方のレクチャーもして、またねと自宅に戻りました。
往復3時間の運転と、実家でのそれなりの気遣いで、毎回ヘトヘトになってしまうのですが、この疲れすらも懐かしむ日が来るのでしょうね。大好きなジャックフルーツが染み渡る美味しさでした。


<6月18日> 

このサイズのお魚が好き

ハタハタ。大好きな魚です。普段は茹でたり鍋にすることが多いけど、久しぶりに焼きが食べたくなりました。ホワホワな身と適度な脂の感じが、好みど真ん中。手のひらサイズのお魚は丸ごと食べられるのが好き。残った頭と骨は、水でゆっくり煮て明日の味噌汁のお出汁にするのが、我が家の定番です。命をいただくのだから食べ尽くすのは礼儀です。お魚もお肉もお野菜だも命。私以外の命に私は活かされています。本日もありがとう!と心から感謝しながら、美味しく食べ尽くしました。んー、ハタハタ好き。


<6月19日> 

アルモンデパスタ

明日からしばらく家を空けるから、冷蔵庫をできるだけ空っぽにしたくて、今週は買い物をせずに暮らしていました。旅の前日の夕飯は、残っていたミディトマトとオイルサーディン缶を使ったアルアモンデパスタ。フライパンにトマトを並べてオリーブオイルをまわしかけ、中火で焼いていくとジクジクとトマトが煮崩れてきます。そうしたらオイルサーディンを入れて、塩とちょっぴりの醤油で少し濃いめに味をつけてスタンバイ。茹で上がったパスタを加えて、再度味見します。塩気が足りなければ追加して完成!トマトとオイルサーディンの組み合わには、絶対的な信頼を置いています。シンプルだけど間違いない。満腹な私とは対照的にがらんとした冷蔵庫は、アルモンデを楽しんだ証です。


<6月20日> 

憧れの味は最高でした

明日から始まるイベントのため、長野へ。前日早くに家を出たのは、長野に住む友人とのんびり過ごしたかったから。彼女がランチにと予約してくれたお店は、私の憧れの人が腕を振るうカフェだったという奇跡が起こりました。インスタでうっとり眺めていたバインミーが目の前に!ヴィーガンバインミーは、パテもソースも野菜もハーブも、全てのバランスがバチーンとはまっていて、感動的な美味しさでした。私もこんな味を作りたい。
日常的に連絡を取り合っている友人とは、一年ぶりの再会とは思えないほど気楽に過ごしました。誰にもは見せられないダークな部分も受け止めてくれるから、飾らずにいられるのが嬉しい。私が唯一人に自慢できること、それは友人たちが皆本当に素晴らしい人間だということです。人に恵まれて、支えられて、活かされてる。私は本当に幸せな人です。


<6月21日> 

マッシュポテトどーん

長野の市街地から40分ほど、山道を上がった七二会に「森の古民家あだむさんち」はあります。友人夫妻が営むこのお宿で、夏至のリトリートを開催しました。リトリートは、数日間住み慣れた土地を離れて、日常で疲れた心や体を癒す過ごす合宿のようなもの。2泊3日この場所で共に過ごす方達は、普段住む場所も年齢も職業も皆バラバラ。DAY1の始まりは、自己紹介をしながらみんなでピザ作りをしました。アダムさんが用意してくれた生地を伸ばして、好きな具材をトッピングして、アースオーブンで焼き上げたピザは格別!生地の触れ方、具材の選び方にもお人柄が出ちゃうのが良いなぁ。
夏至のまんまるお月様を一緒に眺めて、焚き火を囲んで互いの話をする。なんてことないことかもしれないけれど、本当に特別な大切な時間となりました。さ、明日は何を作ろうか。



<6月22日> 

初めて共同作業

リトリートDAY2は、早起きして山散歩。散歩の後はあだむさんちの畑で好きな野菜を収穫しました。その他野菜たちと、私が道の駅で購入していたものを全部並べて、アルモンデ料理の始まり始まり〜。生で食べられるものは全て味見して、「いつもどんなふうに食べていますか?」「今どんなふうに食べたいですか?」「何と組み合わせたいですか?」たくさんの問いを投げかけながら、みんなの食べたいをカタチにしていきます。全ての味付けはみんなで味見して決めました。みんなで作り上げたこの食卓、最高でしょう?
丸1日、食へのセンスオブワンダーを常に敏感にしているって、普段の生活ではなかなか難しい。だからこそ、このリトリート中は目の前の食材と今自分が食べたいものだけに集中してほしかったんです。食べるは生きる。何を食べるかはどう生きたいか。それを伝えはしなかったけれど、皆さんそれぞれ感じるものがあったようです。


<6月23日>

この日限りの一皿

リトリートDAY3。あっという間に最終日。昨日の昼、夜、そしてこの日の朝。一緒に料理をするのも3回目となれば、フォーメーションもばっちりです。あだむさんちご夫妻をランチにお誘いしていたので、みんな大張り切りで腕を振るっていました。私が問いを投げずとも「これどうやって食べようかー」とワイワイ盛り上がっている姿が、なんとも愛おしかったです。
残っている野菜と、少しずつ食べ残していたものも全部リメイクして、アルモンデ料理ここに極めり!な食卓の出来上がり。全部盛り合わせた一皿、素敵でしょう?調理法も味付けも至ってシンプル。過度に美味しすぎない、毎日食べたいごはんです。
リトリート自体はアシスタントとして何度も経験していますが、自分がメインで開催するのはこれが初めて。人に恵まれて自然や季節に恵まれて、緩やかな温かい時間をみなさんと共有することができました。台所にも食卓にも、皆さんのセンスオブワンダーが溢れていて、それを一つ一つ見つけるのが本当に楽しかった。
「知る」ことは、「感じる」ことの半分も重要ではない。
帰り道、本の一節を何度も何度も思い出していました。また近いうちに絶対やります。


月イチ開催しているアルモンデ料理教室。
7月のテーマはなすとレタスです。皆さんは普段どんなふうに食べているのかな。
どちらも一年中どこでも手に入る野菜ですが、旬の味は格別です。いつもとはちょっと違う、でもすぐにおうちでできる調理法をご紹介します。
みんなでつくるって楽しいですよ。料理が下手とか上手とか、そんなことは一度忘れて、ワクワクごはんをつくることだけを楽しんでみませんか?
ご参加お待ちしています。
詳細とお申し込みは、下記のリンクからご確認くださいね。



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