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完璧にデザインされたもの

手術の前日には、センチネルリンパ節生検のための検査をした。

癌細胞が最初にたどり着くリンパ節をみつけるために、注射で薬剤をいれる。その薬剤が通ったリンパ節が青色に染まり、どれが見張り(センチネル)のリンパ節なのかが分かるらしい。説明を聞いた時に、青い帽子を被った小人が匍匐前進している図が頭に浮かんでしまった💦

が、注射はそんな可愛いらしいものではなく、なかなか痛かった。体に異物が入っていく感じはなんとも不快だ。

術前検査の画像で1つ腫れているリンパがあった。先生の説明では、癌の転移がどうかわからない。画像で見る限り悪いものではなさそう。それがセンチネルリンパ節かどうか調べてから、転移であれば腋窩郭清をすると聞いている。病院からもらった資料やネットなどの情報をみていると、条件つきで腋窩温存の可能性がある事が書かれている…私にこの条件は当てはまるのかな?と疑問が湧いてきた。一度先生に確認したい!と思っていた。

実際確認できたのは、手術前日の夜だった。温存の可能性はあるのか?腋窩郭清した場合と温存した場合のメリット・デメリットについて説明を聞く。

単純に転移があった個数だけで決められるものではなく、その人の持つセンチネルリンパ節の数によっても変わってくるという事はこの時初めて知った。3つのリンパ節のうち2つに転移があったのと、6つのリンパ節のうちの2個とでは全く違ってくる。

私は膝の手術をした事がある。手術は成功し問題ないはずだった。が、術後、膝が全く曲がらなくなってしまった。リハビリの専門病院に3ヶ月入院し、やっと90℃曲がるようになった。十何年か前のことだが、未だに正座はできないし、さっとしゃがむ事もできない。自転車にも乗らない。長い時間立っているとものすごく脚がダルくなる。日々の生活でちょいちょい残念な瞬間があるのだ。リハビリもかなり辛かった。その時に痛感した。人の体って完璧にデザインされたものなんだなって。見かけ上は問題なくても、一度切ったはったといじったら、その前と全く同じ状態にはもどれないんだと…。

今回は右胸の全摘。右利きの私は術後に腕まで不快な症状が残るのは避けたかった。リンパ浮腫になるのは嫌だしでも再発するのはもっと嫌だし、正直どうするのが正解なのか…頭がショートしそう💦

先生は私の気持ちをじっくり聞いてくれた。温存の条件に当てはまるのかははっきりと回答はなかったが、もし先生が私の立場ならどちらを選びますか?という答えにくい質問にも真摯に対応してくれた。

「標準治療としては一個でも転移があれば郭清します。ただ、最近の乳腺外科医の中では条件によって温存もありだという流れになってきてはいます。利き手だと不安ですよね。まだ若いし、術後に放射線治療を絶対受けて頂いて予防をしっかりしてもらいながら…もしも局所再発した時は、その時にはしっかり郭清するという事でもいいかなとは思います」

正直言えば、局所再発だって絶対したくない!それだけで言えば腋窩郭清した方が安心だ。ただ、郭清しても実際半分の人には転移がなかったという数字や、遠隔転移の確率にも差はないという報告がある事も無視することはできなかった。一度とってしまったら、もとに戻す事はできないのだから…。そして術後も日常は続いていく。日々の生活の中で残念ポイントが増えていくのもなかなかツライ。はぁ…悩ましい。

結論としては、危ない要素があればもちろん郭清してもらうが、状況が許せば温存する事になった。かなり疲れてしまったけど、先生と話す機会が持てて本当によかった。→本当はもっと早くにした方がいいね💦疑問がでた時点でクリアにする事、コミュニケーションの大切さを学びました。

#センチネルリンパ節生検 #腋窩温存 #乳がん #治療中 #日記 #コミュニケーションは大事

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