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短歌研究詠草2023年採用歌

短歌研究2023.01短歌研究詠草高野公彦選
佳作一首掲載
川面の白き光が窓に来てバス降りてみる十三夜の月/ひびの祈り

短歌研究2023.02短歌研究詠草高野公彦選
佳作一首掲載
黄金の参道歩く三度目の秋巡り来る病院帰り/ひびの祈り

短歌研究2023.03短歌研究詠草小池光選
佳作二首掲載/ひびの祈り
無人化のすすむモールの顔のないマネキンたちが生き生きと立つ
明日のない雑貨屋にある姿見が変われぬままのわたしを映す

短歌研究2023.04短歌研究詠草小池光選
佳作三首掲載/ひびの祈り
「好きなの?」と問う少年に光速で返す少女は「好きじゃないよ」と
少年の「きいただけぇ」の「ぇ」の音がマンション中にこだましている
お互いの白き両耳色づいてミニバラ四つ咲いているよう

短歌研究2023.05+06短歌研究詠草米川千嘉子選
佳作一首掲載
駅裏の彫刻の名は「夢」といい子どもら触れて大人は触れず/ひびの祈り

短歌研究2023.07短歌研究詠草米川千嘉子選
佳作一首掲載
湯のなかで臍に触れれば繋がっていたあたたかな記憶へかえる/ひびの祈り

第66回短歌研究新人賞
予選通過二首掲載/ひびの祈り
魂は踝にあるような気がして踝を布団に隠す
アルファルドあたりの円い公園はひとりの人に好まれ好む

短歌研究2023.08短歌研究詠草永田和宏選
佳作一首掲載
食べ終えたパフェのグラスが先程のわたしのような空しさで立つ/ひびの祈り

短歌研究2023.09
短歌研究詠草 水原紫苑選
準特選 5首掲載/ひびの祈り
捩花をつくるがごとく指先で髪をねじって放す女生徒
蝉の声のほうを眺めて先生が太宰治を語り始める
胸元の蝶を解いてまた結び生死についてノートに綴り
教科書を見ているふりで覗いてる水たまりめくコンパクトミラー
睡郷の空の穴から女性徒の頃のわたしが私を見ている

短歌研究2023.10
短歌研究詠草 島田修三選
佳作一首掲載
受付の人と呼ばれる距離感が良くてわたしは受付の人/ひびの祈り

短歌研究2023.11
短歌研究詠草 島田修三選
佳作一首掲載
デパートの帰りに母とよく飲みしクリームソーダをひとり頼めり/ひびの祈り

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