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鳥山先生ありがとう

鳥山明先生が亡くなった。ここで説明しなくても、誰もが知っている偉大な漫画家。私は絵が得意だけれど、唯一鳥山明先生の絵だけは模写できない。先生の絵の魅力は、空間を正しく認知する力に加えて、子どもの落書きのような柔軟さをもっているところだ。子どもが「こうだったらいいのに」と空想した瞬間的なカタチを、逃すことなく紙の上に出力してくれる。先生の線には血が通っている。キャラクターの中心にはエネルギーが帯びていて、線の隅々、アホ毛一本にさえ生き生きとした必然性を感じる。ストーリーは単純に思えるけれど、そもそも今は当たり前になった設定の枠組を作り上げた方だ。不要なものは削ぎ落とすセンスもある。

私が道路にチョークで悟空の絵を描いて先生を追悼していたら、近所の小学生に「ドラゴンボール好きなの?」と聞かれた。ドラゴンボールが好きか嫌いかなんて考えたこともなかった。私の世代にとってはそういう問題じゃない。ドラゴンボールは生活の一部、自分の延長にあるものだった。

また何年か待てば新作を描いてくれるかもしれないと、どこか期待していた。気長に待っていた。叶わないことが悲しい。それでも事実上の遺作「ドラゴンボールDAIMA」が秋から放送されることが決まり胸が熱くなった。先生のアイデアが詰まった最後の作品を楽しみに生きていこうと思う。歴史を変えた漫画家、鳥山明先生と同じ時代を生きられて幸せだった。

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