最近見た映画の感想

 前振りなんてない。映画の感想である。映画館で観たものだけ。

・四月になれば彼女は
 映画プロデューサーと小説家を兼任する川村元気原作の恋愛小説の映画化。原作が大層好きなので、公開初日に観た。
 川村元気自身が脚本に参加していたし、そもそも映画プロデューサーだけあって、映像映えするようにかなり改造されていたが、肝心要の部分は一切の変更もブレがなかったので、原作と異なる点は多いが別物ではなく、ある意味ではとてつもなく忠実な作品だった。原作付きの映像化のお手本にしてもいいかもしれない。
 ともあれ、内容は恋や愛を長く続けていくために必要なものはなんだろう、というものであり、その答えが独自のものだから賛否あると思うが、この点に関しては原作よりも賛を得やすくなっていたと感じた。漫然と相手と一緒にいるだけでは、愛は腐る。そういう話。
 ただまぁ、主人公の元カノの終末介護を今カノがするっていう構図はどうかと思ったが。元カノは介護士がそうだと信じて、主人公とのこれからの人生の幸福を祈っていたが、今カノがそれを受け入れるのは都合が良すぎないかなぁ、とは思った。映像として綺麗だから納得してしまったが。
 でも面白くはあったので、いつかどこかで、愛に迷った時にでも観て欲しいかな。

・ゴジラVSコング 新たなる帝国
 いきなり気色の違う映画になったのではなく、俺の本来の生息地はこういう映画の下にある。
 前作よりも低予算になったらしいし、ハリウッドの役者ストライキのごたごたで役者を拘束するのが難しかった、などの理由があったために、かなり怪獣たちにスポットが当たっていた。ここまで怪獣たちにフォーカスを当てた作品は意外にも少なく、怪獣映画につきもののしょうもない人間ドラマがばっさり削られていたのが好印象に映った。怪獣映画を観に来たんだから、怪獣が暴れてくれた方が嬉しいものである。
 まぁそんな映画なので、人間ドラマなんてものはなかった。しかし、怪獣同士のコミュニケーションがすごく丁寧に描かれていたので、字幕などはないし明確な説明はなかったのに、怪獣たちの意思が理解できるという面白い出来になっていた。
 ……なんて色々書いたが、頭空っぽの方が夢詰め込める、というDBの歌詞のように、頭を空っぽにして子供心を満たせる映画だった、それだけである。おすすめです。馬鹿映画としても面白かったしね。

・王様戦隊キングオージャーVSドンブラザーズ 王様戦隊キングオージャーVSキョウリュウジャー
 今年は二本立てのVシネクスト。戦隊のVSはヴィクトリースーパーの略、というのが最新の答えらしい。いやそれはこの一作前の話だが、ともあれ。
 前者はコメディが滑っていたが、役者陣の魅力ですべてを乗り切った感じのあった。言いたいことは山ほどあるが、でもまぁ、役者が良かったしなぁ、としか言えないとでもいうか。
 後者はTVシリーズのキョウリュウジャーコラボ回の補完と続き。竜星涼と飯豊まりえの二人にがっつり出番があり、どうやってスケジュール調整したんだろう、とは思った。東映のスケジュール管理は常に終わっている、というのが定説だったから。
 キングオージャーを期待して見るとがっかりだが、キョウリュウジャーのアフターエピソードのひとつとしては百点満点という感じの出来だった。
 まぁ総括としては、戦隊のVシネクストはハズレだけは出してこない、という信頼は揺らがなかったのでよし、だろう。後ろ向きに聞こえるかもしれないが、常に一定以上の品質の作品を作るのは難しいので、個人的にはかなりあっぱれ!の心地。

・不死身ラヴァーズ
 松居大吾監督最新作。漫画原作だが、どうやら根幹の設定以外は残っていなかったようなので、そちらは気にしなくていいらしい。十年以上前の作品だから、原作チェックしようにも電子書籍でないと無理だったこともあり、そちらは確認していない(紙の本が好きなので)。
 そういうわけで、かなりフラットな目線で見たと思うのだが。
 前半のコメディ強めに駆け抜けた展開で心を囚われて、後半戦、主人公が大学生となってからの恋愛が始まってからは、かなり恋愛ものだった。恋した相手の記憶が一日しかもたない、みたいな設定は今ではよくあるものになったが(期間の長短はあるが)、それを丁寧に描くとここまで心を抉り、切ないものになるのか、と驚嘆した。まるで恋愛の辛い所を濃縮したような辛さではあったが、だからこそ、それでも大好きなんだ! と前を向く主人公に拍手を送りたくなった。
 終盤で明かされる真実に驚きつつ、その上で自分の恋を見つめ直して、ちゃんと告白して結ばれたり、やっぱりお断りされたり(記憶がもたないので)の珍道中の行き着く先を見た満足感、最高だった。

・ウマ娘プリティーダービー 新時代の扉
 今日公開。ウマ娘の知識がほぼゼロなのに、PVで心を惹かれたので鑑賞してきた。
 ウマ娘を知らなくても、ちゃんとエンタメ映画として面白かった。まぁ要するに走って走って、誰よりも速く走りたい女の子たちの話だったからだろう。スポ根もののロジックで作られていたから、すごくシンプルに面白かったという感想が出てくる。
 まぁ、ウマ娘を知らない身なので、ゲーム的には業補備なのだとしても、最後のライブシーンいらないだろ!? とはなったのだが。レースが生き甲斐と散々やっておきながら、ライブも楽しい! っていうのは違うだろう。あとその後のED曲でもずっこけた。かっこよく締めて欲しかった。ウマ娘のイメージソングなんだから当然、流すだろと言われればそうなのだが。
 ともあれ、本編は真っ当なエンタメ映画なのでおすすめ。
 不安視されていた主人公ジャングルポケットの声優も、他に仕事がないレベルとは思えないくらいに芝居が決まっていた。他の仕事に繋げるためにもここで全力を見せずにどうする! という気分だったのかもしれない。間違いなく主人公の芝居だった。
 その先輩であるフジキセキを演じた松井恵理子の芝居もよかった。最後、引退を撤回して、ウマ娘とトレーナーの関係に戻ったと一言で理解させる見事な芝居。これには感服するしかなかった。
 そんなわけでおすすめです。繰り返すは、スポ根ものだしわかりやすくていいですよ。

 そんな感じ。来月の違国日記は観たいかな。あとはデカレン20th。映画は楽しいものだね

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