泡の中に
ジンジャーエールは、お酒だと思っていた
それが生姜の入った炭酸飲料だと教えてくれた
先輩のネクタイの緩み具合が
わたしは今も、忘れられない
コーラとサイダー、どっちが太りますかねと
そっと聞いてきた後輩の女の子の
ツヤツヤとした肌の感じが
わたしは、羨ましかった
なかなか飲めないサイダーを
片手でひょいと開けてくれた彼の
伏し目がちな横顔が
わたしは、好きだった
取るに足らない思い出は
炭酸の泡の中に込められて
わたしは泡の中で
いつまでもたゆたう
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