【着ぐるみ制作】素人でもできる、着ぐるみのデザインのやり方【アドカレ2日目】
この記事は日陰工房アドベントカレンダーの2日目の記事です。
響音カゲです。
着ぐるみのデザインって難しいですよね。
デザイン持ってきてください、なんて言われても絵なんて描けねーよ! ってなります。
というわけで、今日は
絵が描けない人でも(それなりに頑張れば)デザイン画が作れる方法
着ぐるみのデザイン画を他人に依頼(コミッション)するときの注意点
の2つを紹介しようと思います。
自力でやる方法と、他の人を頼る方法の2種類を提案します。
デザイン画を自力で作る
デザイン画を描くときに一番問題になるのは、普段から絵を描き慣れていないことです。
絵が上手くない(絵に対して他人と比較された経験や、自分が下手なことに対するコンプレックスがある)
自分の理想のキャラクター(かっこいいと思う絵)を描けない
描いてみたけどガタガタになる、綺麗に描けない
みたいなポイントが出てきます。
で、これをカバーする方法をこれからいくつか紹介していきますね。
テンプレートを使う
デザインのテンプレートって結構いっぱい出てるんですよ。こういうテンプレートに描き込んでいったほうがバランスが簡単に取れますし、着ぐるみ化したときにバランス等で大きな破綻を起こすリスクも減ります。
このとき、使うシートは(あなたが着ぐるみ制作の経験者でなければ)できれば正面、横、後ろの3面あるものが望ましいです。
いくつか例を出しますね。
LINEART Kemono Domestic Cat Reference Base Fursuit Maker
海外の工房が出してるテンプレートです。キャラクターとしてのディティールが結構入ってるのと、この形になるようなヘッドベースのパターンが一緒に売ってるので、これを一緒に買えばかなり楽できます。
Etsyにはこの手のデザインシートとか、パターンがいっぱい売ってるので探してみると良いです。
着ぐるみバランステンプレート
ある程度絵が描ける人向け。成人男性のシルエットが入った正面、横、後ろの素材です。
着ぐるみとして現実的に可能なデザインかどうかを検証するときには便利です。このシートのシルエットを、他のキャラデザに重ねて見たりとかすると、実際にキャラにしたときにどういうバランスになるかどうかも分かります。
私はNyuldoriさんから買ったデザインを3面図に起こすときに使いました。
斜め前、斜め後ろのデザイン画もよく見ると思うんですけど、あれはキャラクターデザインを絵として魅せるときに使うものです。設計図としては不十分です。
犬工房とかアトリエあまのじゃくとかのデザインシートも、ヘッドの造形が慣れているから、あのシートから読み取れるんですね。
着ぐるみ制作に慣れてる人間じゃないと立体感が分かりづらいので、最初は正面、横、後ろの三面図をきちんと起こすようにしてください。
ちゃんと資料を集める
絵を普段描かない人は、資料を集めずに描き始める人がめっちゃ多いです。
まずは資料を集めましょう。
推してるキャラクターの写真やデザイン画。後ろや横、正面があるとなおよい
SNSで流れてくる完成したキャラのヘッドの資料。
モチーフにする動物の写真。実際にそのモチーフを動物園に観に行ってみる。
AI画像生成(NovelAI)とかが使いこなせる人なら、ある程度描かせて資料集めをする。
絵を普段描かない人は、とにかく他の人の資料を参考にしてください。これだけでもだいぶ違います。
私は常日頃からTwitterとかで画像を収集してタグ付けして整理しています。こういうキャラクターデザインがしたい、と思ったときに、必要な資料を探せるようにするためです。
テンプレートと、資料があればあとは描くだけなので、わりとどうにかなります。
NovelAIに資料を描かせるってのも結構アイディア出しとしては強いです。集合知みたいなものなので、それっぽいデザインに関してはバンバン出してくれます。
お絵かきソフトについて
iPadなら
Medibang Paint
IbisPaint
Procreate
あたり。PCなら
Krita
FireAlpaca
CLIP Studio
あたり。好きなソフトを使ってください。使い方はYouTubeやGoogleで調べればいっぱい出てきますので、この記事では紹介しません。
もちろん、印刷してペンとか色鉛筆で手塗りでもOKです。
試行錯誤について
デザインって一発で完成品を出したいと思いがちなんですけど、何度かパターンを出して試行錯誤する必要があります。
例えば、私のこのキャラクターをデザインするときもめっちゃパターンを出してました。
モノクロで一回デザインを見てから、色を塗っていく感じでこの時はバリエーションを出してます。
その他、デザインの基本について
私よりさいとうなおき先生のほうが詳しいと思います。
デザイン例
上記を踏まえた上でデザインを考えてみましょうか。
犬工房のコンペに出して落ちたこのトラのデザインを例に挙げてみます。
F1のスポーツカーをイメージしたカラーリングと模様にしています。犬工房の購入者は車好きが多いですから。
幾何学模様と左右非対称のデザインにしつつも、極力シンプルに見えるようデザインしています。
シンプルさとレーシングカーのかっこよさを両立したデザインを目指すよう、線1本レベルで微調整を繰り返しています。
トラとレーシングカーのスピード感が出せているでしょうか……?
デザインをコミッション/お迎えする
言うて、ここまでやって「デザイン出来ました!!!」ってなる人は、ぶっちゃけ少数だと思います。なんだかんだいってデザインってそれなりにセンスと経験が必要なので、結局満足行くデザイン画が出来ませんでした、という人は少なくないです。
自分で描くデザインよりも他の人が描いたデザインのほうが好みだ
この人の描くデザインのキャラが欲しい
という理由があるなら、自力でデザインせずにイラストレーターさんに頼んじゃっても良いと思います。
……なんですが、実はまともな着ぐるみの設計図を描けるケモノ系のイラストレーターって依頼すること自体がめちゃめちゃ難しいです。
上でテンプレートを使えっていう話にも繋がってくるのですが、きちんと立体化可能で現実的な体型のデザインを描いている人を見分けるのって、着ぐるみをある程度作っている人で、かつ絵もある程度描ける人間じゃないと難しいんですね。
なので、ここでは見分ける時のポイントとなる点をいくつか挙げていきます。
デフォルメ系なら4±1等身、リアル系なら5~6等身前後であること
正面、横、後ろのデザイン画があること
着ぐるみを作ったことがある人だとより望ましい(着ぐるみで現実的に可能なデザインを知っている)
これを満たす人ってコミッション開いてるのがマジで一瞬のことが多いです。
日本だとMochiriさんとか星野さんとかKoakeaさんとかひよりさんとかFree Geさんとか田代憂さんとか。
韓国だとBlack Romoonさんとか、Nyuldoriさんとか、Koyoriさんとか。
Koyoriさんは日本語も少しできるそうなので良いかもしれません。
ほかにもいっぱい候補はいますけど、自分の好きなイラストレーターさんから探してください。
一応、見れば分かる通り私もデザインはある程度やってるので、困ったら私に連絡してもいいです。相談ぐらいだったら制作オフ来てもらえればやります。デザイナーの紹介もします。
Adopt(お迎え)する
あとは、販売してあるデザインを買う(Adopt)というのも手です。Adoptの際には、等身、3面図、着ぐるみデザイン経験に加えて以下の点も加味してください。
細かな模様が多すぎない(模様は多ければ多いほどキツイです)
背中に大きな羽がない(背中の羽は初心者にはかなり難しいです。修羅の道を行くなら覚悟してください)
絵柄の癖が強すぎない(癖が強いデザインは結局着ぐるみ化するときにデザイン画を大幅に描き直すことになります)
ファー色が購入予定の店で揃う
デザインが気に入っているのに、ファー色が揃わなくて泣く泣く妥協することも……
例えば、下図のようなデザインはやめたほうがいいです。
気に入る子でデザイン販売をしているのを見かけたときは、「これ3面図もありますか?」というのを聞いてみてもよいです。
ない場合は自力でさかなぼねさんのシートとか使って描き直してください。
まとめ
何にしろ、デザインというのは総合的に考えても、自分で作るにしろ他の人に依頼するにしろ、かなり難しいです。
絵と違って好き勝手やったら着ぐるみが完成しませんし、「作れて着れる」という現実的な制約がかなり大きいです。
ただ、ここで妥協するとそれ以上の良いものは絶対できません。
基本的にデザイン画より可愛いキャラは出来ないです。
しっかり練って、自分の中で納得できて、かつ現実的に制作可能なデザインを目指しましょう。
ヘッダー画像には犬工房のテンプレートを使用しています。
明日の記事は「【着ぐるみ制作】ヘッドベースを作ろう。世の中にあるほぼ全てのヘッドベースを解説する」です。
それでは。
キャラクターの創作費に使わせていただきます。