マガジンのカバー画像

にぎやかな静寂

72
S38年生まれの低空飛行モノカキがのんびり語ります。
運営しているクリエイター

2022年9月の記事一覧

夏の終わりのじゆうけんきゅう(3)

夏の終わりのじゆうけんきゅう(3)

かくして自らの身体をはった自由研究でお茶を濁したぼくだったが、クラスのなかにはやはりどうしても夏休み最終日に間に合わなかった友人たちがいた。
男女合わせて五人ほどだったろうか。
夏休みが開けた初日にそれぞれ研究の模造紙や工作を持ち寄り、詳しい内容は端折って、どんなことをしたのかだけを教室の端っこの列からひとりずつ順番に発表することになっていた。
ぼくは『アシナガバチにさされてからなおるまでのけんき

もっとみる
夏の終わりのじゆうけんきゅう(4 最終回)

夏の終わりのじゆうけんきゅう(4 最終回)

一日遅れで提出する自由研究は、教卓とは別に教室の前にある先生の机の上に置いておくことになっていた。
Aくんは先生の言いつけ通り「家のちかくのこんちゅうさいしゅう」の箱を先生の机の上に置いた。
さっそくそれを見ていた他の男子が「どれどれ?」という感じで、蓋を開けてなかを覗く。
すると、その男子は「うっ」という声にならない声を漏らすのと同時に、大きな声で「おいおいみんな見てみ」と他の男子を呼んだのだっ

もっとみる