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実りの秋


茄子、ピーマン、かぼちゃ。ささげもまだがんばっている。
いまの畑は、ちょっとさびしい。夏の名残を引っ張って食べている感じ。
秋になると、野菜のバリエーションが減るんですよね。
ちょっと困ったように付け加えた、友人のシェフの顔が思い出される。
彼のいうのは、おそらく、食感や彩りの違うものが、秋になると減る、という意味だろう。
たしかに、夏野菜のようなにぎやかさがない。

実りの秋。
言い尽くされてきたこのフレーズは、
お米と、自然がもたらす収穫物をさしているんじゃないだろうか。

ぶどう、梨、りんご。果実じゃないけれど、さつまいもにかぼちゃも、貯蔵する食物という意味合いからしたら、冬に備える実りといってもいいかもしれない。
そう。秋にはたしかに実りのものが、たくさんある。

でも、稲作文化の地では、実りの白眉は、やっぱりお米に違いない。
中秋の名月では、稲穂に見立てて、すすきを飾る。
お団子を供えて願うのも、「お米の収穫」だ。

そして、栗、柿、木の実。
森に、山に入り、そこに実るものをとる。
ひとが育てて実らせたものではなく、あるものをいただく。

10月27日は、栗名月。
うちの栗は終わってしまったけれど、そんなことを思いながら、ふくらみ始めたばかりの月を見上げる。

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