山菜をまえに、撃沈 【料理嫌いが食を学ぶ vol.2】
先が思いやられました……。
“食を学ぼう”と飛び込んだ講座が4月中旬からスタートし、この日がその初日だったんです。
料理嫌いが「食」を学ぼうと飛び込んだ『フードスタディーズ』の世界。
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しょっぱなから無理ゲー?
第1回目のレッスンテーマは「旬の食材について考える」。調理実習の食材として取り上げられたのが、山菜でした。
山菜。
山菜、、です。
きっと料理がお好きな方なら“おいしいよねー”とか、“春らしくていいね”といった印象を持たれるのかもしれないです。
でも、なにせわたしは「料理苦手」、「料理なるべくしたくない」、「めんどくさいの大嫌い」。(こうして書くのは少しはばかれますがあえて書かせてください。何卒。)
山菜と聞いて脳内に浮かび上がってくるイメージを文字にしてみると、こうです。
“山菜なんて料理してみようと思ったことないよ”
“あく抜きとかさ、絶対大変でしょ?”
“これきっとわたし無理ゲー”
学ぶのだという決意が、みるみる萎んでいくような気がしました。料理コンプレックスのまえに、山菜、です。わかりやすく顔が引きつっていたと思います。
だけど、拒否反応が出るのは当たり前。そう思いとどまりました。
自分は今、苦手なことに向き合っているのだから、こういう気持ちになるのは自然なことなんだと。とりあえず起こることに身を委ねてみるのだ。
山菜を手にすべき事実
レッスンは日本フードスタディーズカレッジ理事長の田中愛子先生による座学と、その後の調理実習で構成されています。なぜ、山菜なのか。まずはそのお話からです。
なんでも日本人が食べる野菜の種類は世界でも多い約200種類。そのほとんどが外国から伝来したんだそうです。米も、大豆も、海の向こうからやってきたもの。
では昔の日本人が食べていたもの、日本にもともとあったものってなんだろうというところから、ウド、セリ、ワラビといった山菜が出てきます。
これらの山菜は、数少ない日本原産の野菜なんです。特別な存在なんです。
もちろんわたしは知りませんでした。そして山菜を、“なんか面倒くさそう”と遠くへ押しやっていました。ごめんなさい。
わたしたちは“感性”で食べる
世界中を飛びまわり活動されている講師の田中愛子先生からは、こんなお話もありました。日本人ほど、四季を食事に反映させて楽しんでいる人種はないのだと。
それは食事に限りません。たとえば春は桜がもうそろそろ咲きそうだと国をあげて盛り上がったり、夜桜に妖艶さを感じたり、桜吹雪に切なくなったり。そういった繊細な感性を、日本人は不思議と身につけている。
桜の葉で桜餅、椿の葉で椿餅、柏の葉で柏餅。
作り方は同じでも、わざわざその時期の旬を添える。それが日本人なんです。
聞くと、納得しました。四季を慈しむ。先祖代々受け継がれてきた心。これってすごい個性なんだなと思いました。
……ただ、です。
そのスペシャルな国民性や文化を、日々の忙しさに埋もれそうな現状で本当に大事にできているだろうか? 次の世代に伝承できるか? そう自分に問うと、後ろめたさを感じてしまいます。
年中いろいろな食材が手に入る現代。季節を盛り込んだ食べ物より、時短で便利な食べ物にありつきたい。料理を趣味ではなく義務と捉えている自分にとって、それが正直なところです。
本音はそう。だけど、ちょっと立ち止まりました。
日本が原産の山菜も、日本人独特の感性も、ひょっとしたらどんどん遠くに離れていって自分とは無縁のものになっていくもかもしれない。このままでいいのだろうか……。
先入観をつぶしていくハック
知ることで腑に落ちることもあれば、知ることで混乱することもあります。自分なりの答えはきっと、そのときどきで考え抜いていくしかないのでしょうね。
ぐるぐる思考の渦へと飲み込まれそうになっていたところで。
山菜、です。いよいよ調理がスタート。
この日のメニューは、「春のちらし寿司」「鶏団子のおすまし」「春野菜の和物」「うどのきんぴら」「苺大福」。次いで午後に受講した“オーガニックについての講座”でも、山菜ごはんや天ぷらの作り方をレクチャーしていただきました。
山菜、おいしい。
いや、それはわかっていた。
山菜、そこまで大変じゃないかも。
これは発見。
もっとこう、下ごしらえをすごくしないといけないものだと思っていたんです。でもね。たとえばウドは酢水にさらすだけでそのまま食べられちゃうし、皮はきんぴらにしたらおいしいし、料理が苦手なわたしでも、意外とできそう。
あと、先生のご自宅の庭でとれたハーブやお花をどんどん天ぷらにしちゃう作業がすごく楽しかった! もうね、どんどん揚げちゃう。なんてシンプル。それで丁寧に盛りつけて食べる行為に充実感が広がった。
そして、おどろきだったのは桜でんぶの作り方。手作りできるなんて知らなかった! これも日本独特の技法なんだそう。こちらはすごく手間のかかる作業だけど、こうやってできているのだと知れたことに価値がありました。お味はもちろん、至福。
はじめは山菜と聞いて逃げたくなったけど、終わってみたら学びが多かったです。逃げなくてよかったです。もっと知りたくなりました。
次回につづきます。
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