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女友達とのあれこれ

女同士の関係は、ライフステージに左右されやすい。

結婚するかしないか。子供を産むか産まないか。
「あっち側」と「こっち側」に分かれる感覚。
たとえ同じ選択をしても、時期が少しずれるだけで溝ができてしまう。

私も、友達との関係性に悩んできた。
まわりは20代でサッサと結婚して、子供を2〜3人産み、実家のちかくに家を建てた。
これのどこが少子化なんだ?と思うほどに。

私は気ままなひとり暮らしを楽しんでおり、遊んだり飲み歩いたりしながら、30歳くらいで結婚できたらいいやーと思っていた。

それでもやっぱり地元に帰ると不安になるし、孤独を感じた。
友達は私の恋愛ばなしを聞きたがり、

「いいなぁ、そっちの人生も経験したかった。
一番たのしく遊べる20代は、子育てで終わっちゃうからね。
子供が巣立って時間ができたとしても、その歳から何すればいいのか分からないよ〜。」

そう言って羨ましがられた。
そのうち半分以上は気遣いだろうと思った。

離婚してシングルマザーになった友達は、よく旅行に誘ってくれた。
うれしい反面、子供を放っておくのは申し訳ないので、小さい子が楽しめそうな所に行ってみたり、遊び相手をしていると、会話もままならない。
夜は飲みに行きたいけど、がまんして早く寝る。

貴重な休みとお金をつかって、フラストレーションがたまる旅行に行くのがだんだんと辛くなった。
そんな事を思う自分が、ひどい奴に思えて泣けた。

そうして結局、子供がいる友達とは距離を置いた。
どちらが悪い訳ではないのに、お互いになんとなく無理して、気を遣っているのを感じながら一緒にいるのは辛かった。

独身か、子供がいない友達といるのが楽だった。
彼氏がいない時期は1人で旅行に出かけた。

30歳を過ぎても、結婚できる気配はない。
私は自分の人生をそれなりに楽しんでいるし、「あっち側」に行きたかったけど大変そうだし、行けなくてもまぁいいか。
諦めたくないけど少しずつ覚悟しはじめていた。

すると突然、それらをぜんぶ吹っ飛ばすように、結婚することになった。
33歳の時だった。

子育てのために地元に戻ると、友達がホッとした顔で迎えてくれた。
共通の話ができること、共感し合えることにみんなが喜んでいるような気がした。
独身の友達とはほとんど会わなくなった。

私も「あっち側」に来たんだな…と感じていた。
生きやすい道に来たと思ったら、今度は「ママ」というバイアスがかかって、社会的に働きづらくなった。
どっち側にいても生きづらさがあり、不便なのだ。

人は自分がいる側の景色しか見ることができない。
これまでの選択に後悔はないつもりだ。
でも私は、ひとりで、自由で、優雅で、寂しさを抱えた人生を味わうことはもうできない。
そうやって無いものねだりを繰り返す。

私たちが、ちがう側にいる人と分かり合えるのはいつ頃なのか。そんな日は来るのか。
たぶん、年齢を重ねることだけが解決してくれる。

「生きてるだけで大変」で「みんながそれぞれの生き方で頑張っている」ことを理解してはじめて、相手の生き方を心から尊重できる。

それまでは、無理して一緒にいないこと。
自分が楽しく過ごせる場所に身を置いて、時が流れるのをじっと待つこと。

50歳か60歳になればまた集まって、おんなじ老化の悩みを共有し、ゲラゲラ笑えるんだろうと思う。
女は歳を重ねるほどおせっかいで、たくましく、共感しあう生き物だから。

そんな日が来るまで、みんなどうかお元気で。

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