西山女流三冠の強さは本物か?

西山三冠が朝日杯一次予選で阿部光瑠七段に勝利し、プロ棋士編入試験の資格を獲得。その後の佐々木大地七段との対局には敗れたものの、プロ棋士編入試験に挑戦することを表明した。


さて、この2局の対局を見ていたのだが、気になることがあった。

まず、西山三冠は後手振り飛車だったのだが、序盤の数手でソフトの評価値は5%以上のマイナスとなった。普通、プロ棋士同士の対局の序盤でここまでマイナスに振れることはあまり見ない。

しかし、その後に何手か進むと互角くらいまでには戻ったが、この状況はいくつかの状況を示唆している。

まず、プロ棋士は女流棋士ほどには振り飛車党がおらず、振り飛車の研究があまり進んでいないのではないだろうかということ。だからこそ、序盤である程度優位になっていたにもかかわらず、最善手を指すことが出来ず、互角の評価値に戻ってしまったと考えられる。

ということは、研究されたあとにプロ棋士相手に互角以上の戦いができるのかどうか。今日のような対局であればズルズルと負けてしまうことになる。

そして同時に、研究していないから負ける、というのは文系的思考が大きい可能性がある。

これはどういうことかというと、数学の試験を考えればよい。

数学が苦手な人は、数学の試験で点数を取るために問題の解き方やパターンを暗記する。しかし、このような勉強の仕方だと、応用や新傾向には対応できない。
これと同じようなことが将棋の研究においても起きていると言える。

もちろん、トップレベルであれば研究というのは非常に大事であることは間違いないのだが、研究の仕方も重要であり、それ次第では難解な終盤で勝ち切るというのは簡単ではない。


これらのことを踏まえ、プロ編入試験はどうなるか。そして、NHK杯での藤井七冠との対局はどうなるか。

かなり興味深い対局となるだろう。

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