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《19歳の目》被爆体験が直接聞ける最後の世代の決意 第1弾:ナガサキ・ユース代表団8期生 筬島 葵さん

みなさん、こんにちは。

ヒバクシャ国際署名ユースの高橋悠太です。現在19歳の私や私たちの世代は、「被爆体験が直接聞ける最後の世代だ」と言われてきました。では、被爆75年を見据えた今回のNPT(核拡散防止条約)再検討会議を、そんな「最後の世代」はどのように捉え、何を思っているのでしょうか。今回から数回に分けて、NPT会議に参加する私と年の近い、若者のインタビューをお届けします。

「誰かのきっかけになりたい」

ナガサキ・ユース代表団8期生 筬島 葵(おさじま あおい)さん(長崎大学環境科学部2年)「最後の世代が見つめるNPT」第1弾は、筬島葵さんです。彼女を含め7名が、「第8期ナガサキ・ユース代表団」として、今春のNPT再検討会議に際して、核兵器廃絶長崎連絡協議会(長崎県・長崎市・長崎大学で構成)からニューヨークに派遣されます。ナガサキユース代表団の日頃の活動はこちら(Facebook)から。

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ーなぜナガサキ・ユースになろうと思ったんですか?

小学校では、平和学習として被爆者から体験を聞いたこともあったのですが、中高時代は学校生活に忙殺されていました。でも、大学進学し、長崎の地で核兵器廃絶のために活動する人々と出会い、私も何か動きたいと思って、応募を決めました。

ー実際になってみて、どうですか?

昨年12月に初めて集ったメンバーで、正直焦りもあります。でも、これまで知らなかった広い世界に踏み込むことに日々、ワクワクしています。仲間たちからのフィードバックがもらえることもやりがいの1つですね。まずは自分で学びを深め、そこで感じたことを言語化して共有することで、仲間から新たな学びが得られます。

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ーNPTに参加してやりたいことは?

長期間にわたり、会議を傍聴します。核保有国が自国の核軍縮に関わる取り組みをどう説明するのか、とても興味があります。
また、私はこれまで被爆者の方々の壮絶な体験も聞いてきました。でも、何度聞いても「被爆者」になることはできません。それはある意味で、私たちが「非当事者」であるということ。そんな素朴な感覚を大切にしながら、私たちに何ができるのか、真剣に考えたいです。

ー各国から同世代の若手も多く集まりますね。

はい、各国の同世代の若者がどんな活動をしているのか知りたいです。異なるバックグラウンドを持つ若者との対話を大切にして、彼らとのつながりを作りたいと思っています。

世界のユースとの出会い

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先日、13ヵ国から約30名の学生が集まった「Youth Conference in Nagasaki」にも参加しました。私は、宗教や国籍などの枠組みを超えた仲間を作りたいし、それが、何かしらの動きをするときの「基盤」になるような気がします。その基盤をどう活用し、発展させるかは、まだ具体的にはわかりません。でも、その準備としてニューヨークでの出会いと交流を大切にしたいと思っています。各国に、種をまきたい、それが何かの「きっかけ」になると思うから。

「戦争の中の原爆だった」

ーきっかけ、というと?

私は長崎に来て、大学やその他私が属しているコミュニティーで、社会をより良くするために、一生懸命、楽しそうに動く人々と出会いました。それが私を形作ってくれています。そういう誰かの「きっかけ」に私もなりたいんです。
InstagramなどSNSでも、よく社会問題に対する自身の思いを発信しています。私の投稿で、その問題に対して関心を持ってくれる人が増えるといいな、との思いからです。

ーナガサキ・ユース以外に何か活動をされているんですか?

オーダーメイドで平和教育の出前講座を行うPeace Caravan隊にも所属しています。「歴史を学ばないといけない」と最近、よく感じます。長崎在住の被爆者・森口貢さんと対話する中で、「戦争の中の原爆だった」という言葉にも出会いました原爆は、「あの日」の一瞬の凄まじい被害に注目されがち。でも、戦中を生き抜いた人々の苦しみや「あの日」から続く被爆者の方々の人生被害も決して忘れてはなりません。(写真はPeace Caravan隊Facebookページより)

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2月に広島平和記念資料館を仲間と訪れました。(2019年にリニューアルされ)遺品など1人1人の生きた証にフォーカスされた展示に、原爆・核兵器を身近な問題として捉えるきっかけをもらいました。こういう感覚が当事者意識につながるのかもしれない、と思いました。
※写真は2019.7.24 AERA「「被爆再現人形」が撤去された理由 広島平和記念資料館がリニューアル」より

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「戦争は最大の環境破壊」

ー環境科学部に在籍されているんですね。

現在、気候変動への対応を求め、世界中で若者が声を上げています。そうした関心を核問題にもむけてもらいたいです。そのために、核兵器の(人間に対する)非人道性だけでなく、「戦争は最大の環境破壊」と指摘されるように、核による地球環境への影響を発信するなどしたいと考えています。

ー「環境問題」という「核」とは異なるフィールドと関わる中で見えることはありますか?

核問題に関わるには、専門的な勉強をすることが必要になると感じます。そういう学習は私にとっても、とても難しいです。だからこそ、私自身がしっかり学んで、噛み砕いて、みんなにわかりやすく伝えたいです。私の「難しい」は、みんなの「難しい」だと思うから。それが誰かの「きっかけ」になってほしいと改めて願っています。

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私の1歳上の先輩のインタビューでした。こうして志同じくする仲間の考えに刺激をもらい、同時に親近感を感じます。次回もお楽しみに。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

被爆者国連派遣募金にご協力をお願いします

当記事は現在、被爆者が呼びかけている「被爆者国連派遣募金」キャンペーンの一環として掲載しています。高橋さんや被爆者の活動を応援してくださる方はぜひ支援&情報拡散へのご協力をお願いします。


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