待ち続けた手紙

ある国に
とても綺麗なお姫様が住んでいました。

ある日、お姫様は
隣の国の王子に出会います。

二人は瞬く間に恋に落ち、
その一瞬が永遠となっても良いような
ひと時を過ごしました。

別れ際、王子は
「必ず手紙を書くよ」
と約束をして、去って行きました。

次の日からお姫様は
王子様の手紙を待ち続けました。

しかし、毎朝毎夕、
いつまで待っても
手紙は届きませんでした。

お姫様は
「王子様の身に何かあったのかしら」

「戦地で怪我をして
記憶を失くしてしまったのかも」

と、王子の身を案じて
待ち続けます。

一向に手紙は届きません。

そしていくつもの季節を通り過ぎ、
お姫様もいつしか
美しい老婆へと変わりましたが、

それでもまだ
王子からの手紙を待ち続けていました。

そして運命の日、
王子の手紙を待ち続けた
あの少女は
天国へと旅立って行きました。

王子はただ
心変わりをしたということを知らないまま。

お姫様はバカみたいに
伝えられなかったのです。
「手紙を送って欲しい」と。

おしまい。

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