メダリストが生まれるまちをつくる【後編】
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メダリストが生まれるまちをつくる【後編】

「水上のロデオ」と呼ばれるフリースタイルカヤックのアスリートとして世界トップクラスの実績を残している松永和也さん。2017年に福井の会社に入社し永平寺町に住みながら競技に参加するなかで、カヤックの練習に適した場所の不足を感じていました。

前編はこちら

民間・行政の仲間が次々と加わる

ある時、永平寺町を流れる九頭竜川で
カヤックの練習に適したポイントを見つけた松永さん。
安定した豊富な水量にいい感じの波……
「ここなら国際大会が開けるかも!」と
何気なく会社の飲み会で話したところ、事態は急展開します。


松永さん(以下、松永):「いい場所があるんですよ」と飲み会の時に話していたら、後日SNSを通じて会社の社長から国土交通省の河川事務所へと話が伝わったんです。そこから有識者の方に現場を見てもらったところ「もし実現すればカヤックを通じて、住民も地域経済も盛り上がるはず」と、エネルギーのある方が次々と仲間になってくださったんです。気づけば民間人はもちろん、国、県、町や大学といった機関まで関わる壮大なプロジェクトになっていました。

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「正直、こんなことになるとは思いもしなかったです」と松永さん

前例のないプロジェクトが立ち上がる

その後、現地のリサーチや実現に向けた計画立案など費やすこと約2年半。
「永平寺町からメダリストを出そう!」を合言葉に、
2020年4月「九頭竜川かわとまち協議会」が立ち上がりました。
しかし、誰もがやったことのない計画を進めるなかで、
さまざまな課題に直面します。

松永:カヤックに必要な波(ウェーブ)を安定的につくるためには、河川の改修工事が必要だったのですが、これがとても大変な工事でした。工事の場所は普段、上流にある発電所からの放水によって最大毎秒80トンもの水が流れているのですが、1年のうち数日間だけ施設点検のため放水を停止するんです。工事の年は4日間でした。そのため、この日程に狙いを定めて工事を終えなければならなかったのです。

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上流にある発電所。ここから安定的な水が川に放水されている

夜通し行われた大規模河川工事

大規模な河川工事に与えられた時間はたった4日間でした。
ひとたび放水が始まれば再び毎秒80トンの水が流れ込んでしまう…。
短期間で確実に工事を終えるため、地元高専との水路実験や
電力会社や地元漁業組合、県の河川課との調整を重ね
発案から3年、いよいよ工事の本番となりました。

松永:工事は放水路を締め切り、排水して波を起こすためのブロックを設置するというものでした。でも、いざ工事が始まると川底に思った以上の土砂が埋まっていることがわかり、排水にも予想以上に時間がかかってしまったんです。夜中までの作業にもかかわらず難工事を見事成功させてくださった工事会社の人には感謝してもしきれません。また、工事資金の一部はクラウドファンディングで支援を募ったのですが、これまでカヤックにかかわりのなかった方からもご協力いただき、本当にありがたかったです。

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夜通し行われた工事。設置されたブロックに放流水がぶつかることによって安定的なウェーブが生まれる

カヤックを通して可能性の種を蒔く

2021年5月30日、ついにフリースタイルカヤックの練習場
「ナミノバ」がオープンし、
親子で楽しめる体験や、全国のプロが集まる大会も開催されるように。
これまでの出来事を振り返って松永さんは何を感じたのでしょうか。

松永:当時、まだ移住して日が浅かったにもかかわらず、僕のささいな提案をみなさんが面白がってくれたことがとても嬉しかったですね。福井は山や川、海に囲まれた場所ですが、ほかにも自然豊かな場所は全国各地にあると思うんです。ただ、人と人のつながるスピードや熱量は福井ならではの良さだなと感じましたね。

今後のオリンピックではフリースタイルカヤックが
正式種目になる可能性もあると言われており、
更なる盛り上がりが期待されています。

松永:これまでフィールドに困っていた競技者たちにとって「ナミノバ」は希望の光だと思います。もちろん、このまちからメダリストを輩出するためには、設備だけでなくサービスや指導者育成などソフト面での整備が必要だと思うので、まだまだこれからですね。

永平寺町は高速のICからも近いですし、アクセスは抜群。今後は中部縦貫道の開通も控えているので、さらに遠方からも気軽に来てもらえるようになるはずです。「ナミノバ」をきっかけに、川でくつろいだり永平寺町に滞在したりなど、カヤック競技者だけでなくこの町を楽しむ人がもっと増えるといいなと思います。まずはこの場所をさらに良くしていき、仲間を増やしながら、いろんな可能性の種を蒔いていきたいですね。

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※記事の内容は取材当時のものです。

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ナミノバ
住所:永平寺町中島
https://paddlingvil.jp/

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