父親の実家を住み継ぎ、実感した“生きている手応え”【前編】
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父親の実家を住み継ぎ、実感した“生きている手応え”【前編】

福井県の中央部に位置する南越前町は、雄大な日本海と緑豊かな里山に囲まれた自然豊かな地域。江戸時代に宿場町として栄えた「今庄宿」やかつて日本海側の海運で栄えた「北前船」の船主集落など、歴史や文化が息づくまちでもあります。

関東に住んでいた吉田智彦さんとかおりさん夫妻は、2021年、コロナ禍をきっかけに南越前町の小さな集落に移り住みました。住まいとして選んだのは、長年空き家になっていた智彦さんの父親の実家。コツコツと住まいを直し、ゆっくりと暮らしを整えていく二人の生き方には、都会の暮らしでこぼれ落ちてしまった大切な何かがありました。

吉田智彦さん
東京都出身。ノンフィクションライター、フォトグラファー。人物や旅、伝統文化などを題材に、真摯に生きる人々の姿を伝える。スペイン・チベットなど、国内外の信仰の道を歩く。近著に『山小屋クライシス 国立公園の未来に向けて』(ヤマケイ新書)

吉田かおりさん
都内で家具や雑貨を扱う会社に勤めていたが、智彦さんとともに縁もゆかりもない福井県へ移住。現在はリモートワークで事務職を続けつつ、町内の施設で観光案内などを担当している。

コロナ禍で選んだ場所に縛られない生き方

ノンフィクションライターとして
雑誌や書籍の執筆を手がける吉田智彦さん。
関東を拠点に、スペインやチベット、熊野古道などを巡礼したり
カヤックで北極圏の川を下りながら現地の暮らしにふれたりなど
世界中を旅しながら取材することをライフワークとしていました。

吉田智彦さん(以下、智彦):これまで旅で出会ってきた人たちには、道路も通わない広大な森の中で暮らしていたり、険しい山の中で仕事をしていたり、自然と真摯に向き合って生きている人たちがたくさんいました。国内外さまざまな場所で、現地の人から生きる知恵を教えてもらいながら旅をすることが面白くて、いつか自分も自然の近くで暮らしそのものを作りたいという思いを持っていたんです。

でも現実は仕事の便宜上、「出版社まで何分で行けるか」という基準で住む場所を選んでいました。よくよく考えたらフリーランスの身なので場所に縛られる必要はないのですが、自分で勝手に縛りを作っていたんですね。そんな時に新型コロナウイルスの感染が拡大し、海外はおろか、取材する案件が一気に減りました。先が見えないなか、どうせなら以前からやってみたかった自然に寄り添った暮らしを実現させてもいいんじゃないかなと思うようになったんです。

「多くの仕事がリモートで済むようになったこともあり、踏ん切りがつきました」と智彦さん

吉田かおりさん(以下、かおり):私は彼ほど過酷な自然の経験はありませんが、社会人になってから趣味で山登りを始めてからどんどんハマり、多い時で月3〜4回山登りに行ってました。なので、自然のそばで暮らすことに抵抗はなかったし、私もいつかそういう生活をしていたいと思ったので、ついにそのチャンスが来た!と思いました。今まではぼんやり考えているだけでどうすればいいかわからなかったのですが、話が具体的になったので、「その話に乗ります!」と返事したんです(笑)。

「誰に話しても『よくOKしたね』って言われるんですよ(笑)」とかおりさん


幼い頃に体験した記憶をたどって

そこから親戚のつてを辿り拠点探しを始めた吉田さんたち。
自分たちはどうするべきか、どう暮らすべきかを考えるなか、
ふと頭に浮かんだのが、福井県南越前町にある父親の実家でした。

智彦:子どもの頃から、夏休みになるといつもそこで過ごしていました。家の目の前に小さな川が流れていて、糸をひっかけるだけで魚が釣れるんです。じいちゃんばあちゃんの御伽噺のような昔の話を聞きながら、追体験するように自然のなかで自由に遊べるのが心地よくて、大学生になるまで通っていました。そんな幼い頃に見た景色を思い出して、「あの場所なら思い描いた暮らしが作れるかも」と思ったんです。

とはいえ、誰も住まなくなってしばらく経つので、建物はきっとボロボロのはず。でも、父親の所有物なので新たに買ったり借りたりする必要はありません。大工仕事はやったことがありませんでしたが、自分たちで好き勝手にできるし、出版の仕事で建築の取材を何度もしたことがあり、現場だけはいろいろ見て来たのでなんとかなるだろうと楽観的でした。とにかく一度建物を見に行ってみようと福井に向かうことにしたんです。

智彦さんが幼い頃遊んだ小川


不安よりワクワク感が勝り、改修を決意

2020年5月、久々に訪れた父親の実家は、
雪囲いがされたまま閉ざされていたそう。
想像した通り、建物の損傷は激しく、簡単には直せない状態でした。

智彦:母屋は大きい上にかなり傷んでいたのでこれを二人で直すのは難しいと思いました。でも、その隣にある納屋は、土壁に大きな穴が開いたり、湿気で床が落ちていたりしましたが躯体は丈夫だったので、「こっちならなんとか自分たちで直せるかも」と思い切って二人で改修することに決めました。

かおり:その時は勢いで決めた感じでしたね(笑)。近くに買い物する場所がなさそうとか、運転が不安とか、気になることはありましたが、とにかく今の場所から離れてどこかに行きたくて仕方がなかったので、当時はワクワクする気持ちしかありませんでした。

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こうして南越前町への移住を決めた吉田さんたち。長く果てしない改修を進めるなか、思わぬきっかけから地域の人たちとのつながりが生まれ、関係性が広がっていきます。後編は二人が暮らしの中で感じた豊かさについて伺っていきます。

※記事の内容は取材当時のものです。

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