見出し画像

#神域リーグ チームゼウス観戦記_第3試合 ~ついうっかり、神対応~

概要 

環境に合わせたバランス調整。
そこには麻雀の難しさと、面白さが凝縮されている。

神域リーグ第1節(第1~3試合)の、
チームゼウス視点アーカイブはこちら↓

※脚注
選手への中傷行為などに繋がらない様に注意されたい。公式からの案内を、記事最後の引用欄に貼付けておく。

また、本記事中の牌姿画像は筆者が大会ロビーから拝借した牌譜SSである。
卓や牌のレイアウトが本放送とは異なるが、ご了承頂きたい。

氷室谷の初回観戦記はこちら↓

前回観戦記はこちら↓


本題

チームゼウス、粘って迎える第3試合。
出場するのは鈴木たろう監督

出場するのは、この4名。

チームヘラクレス:因幡はねる選手
チームアキレス:天宮こころ選手
チームアトラス:ルイス・キャミー選手
チームゼウス:鈴木たろう監督

正直にいって、筆者(氷室谷)の雀力では
Aランク以上の選手についての解説や考察は怪しい部分がある。

そこで今回は、
チームゼウスの視点配信中に検討が行われた内容を中心として、
外部データも交えてコラムにしてみよう。


はじめに:鈴木たろう監督はどんな選手?

鈴木たろう監督は、最高位戦日本プロ麻雀協会所属。
Mリーグでは赤坂ドリブンズでプレーしている麻雀プロだ。

トップを取るために理に適っていると判断すれば、
マジョリティとは異なる一打や、思い切った副露判断をも辞さない。

(まれに見る4センチノーテンなんかはご愛嬌)

その鮮烈かつ高打点を逃さない一打は、『ゼウスの選択』と評されている。

チームゼウスの名前も、彼の通称をもとに決められたのだろう。
今回はそんな鈴木たろう監督の、神域リーグ初対局となる。


東場:副露対応のあれこれ

開局早々に和了をものにして、スタートダッシュ気配の鈴木たろう監督。
続いて東2局、またしても良さげな配牌が降臨する。

10人中12人がホンイツに向かう配牌

実はこのとき、肝心要の西が1枚、親の天宮こころ選手の手牌に。
親が七対子やトイトイを見ての進行となり、西が案外出ない形となっていた。

結局、鈴木たろう監督は仕掛けができないまま。
他家に逆に仕掛けられて巡目が進んでいく。

そして、検討内で注目となった場面を迎える。

打南をポンされ、出てきた西をスルー

仕掛けの得意な鈴木たろう監督だが、この西をスルー
確かに親の天宮こころ選手が2副露、かつこのタイミングで西が出てきたことに危機感はある。

他にも、
・ルイス選手が鳴いている5sもドラ近くの濃い牌
・手順的にマンズの混一色が否定できず、脇のルイス選手にも怪しいため6mはかなり切りづらい
といった要素もあり、ここは慎重にという判断。

ツモ北、打7s

中盤、索子の上部を払いながらテンパイ復活の可能性を見るルートへ。
結果的には天宮こころ選手のツモ和了(トイトイ)となった。

この対応自体は、丁寧で凄いプレーだと私は思っている。
ただ、検討で鴨神にゅう選手も含めて出てきた言葉が興味深い。

「慎重に対応しすぎたかも」

これは決して、他の選手を舐めてかかっているという意図ではない。
副露(副露率)というパラメーターは、環境によって変動する。

・神域リーグの環境はどうか?
・そのうえで、どう対応すべきか?
という議論になっているのだ。

同様に、東4局でもテンパイ取らずのスルー進行があった。

上家ルイス選手の打5pをスルー

鳴いて満貫、しかも終盤なのでテンパイはとってしまいたいところ。
ただ、ここは一切鳴かずに親流れとなった。

配信中の検討によれば
単騎待ち選択から7m・8mと勝負していくのは、
3者が副露した終盤では微妙だと判断してスルーとのこと。

この少々厳しめな副露対応は、
鈴木たろう監督がプロとして普段活動している環境に合わせたものだろう。

概算ではあるが、参考データを見てみよう。
Mリーグ2021~2022レギュラーシーズンにおける、
32選手の平均副露率は約20%である。

赤あり、ありありのルールで平均副露率20%となると、
かなりのメンゼン重視環境といえるだろう。

この環境では、副露率を高くしすぎると他3選手の誰かにリーチを打たれ、
自分だけ手牌が短い=守備力を落とした状態、での闘いを余儀なくされる。

したがって、よほどのことが無ければ鳴かない。
逆に言えば、鳴いた選手はその時点で高打点だったり、すでにテンパイや一向聴といった「よほどの状態」だと言えよう。

では逆に、神域リーグの環境はどうだろう?
まだ始まったばかりなので、参考としてルールの近い雀魂段位戦で考えてみよう。

2022/5/14時点での概算で、
四人打ちランキング上位32名の平均副露率は約33%となる。

こうなると、何でもかんでもメンゼンでじっくり進行しようとすると、
副露環境についていけなくなるリスクが生じる。

結果的には、字牌のひと鳴きや一向聴・二向聴の副露も増えてくる。
この場合の副露対応は先程のMリーグ環境と比べて、
微妙に変わってきそうなことが想像できるだろう。

環境に合わせて、自身のバランスを調整する。
これが麻雀というゲームの難しい、そして面白い部分なのだ。

麻雀プロや、ネット麻雀の高段位者でさえも調整に苦慮している。
ぜひその思考、苦しみ、そして実際の対応含めて、神域リーグ観戦を楽しみたいものである。


南場~終局:激闘、私たちが見たかったもの

さて、そんなこんなで難しい展開が続くチームゼウス。

南場で勢いが止まるということはなく、
鈴木たろう監督は強烈なリーチで幾度となく攻めていく。

しかし、そこに立ちはだかったのがチームアキレス・天宮こころ選手

リーチ後、8sで清一色に放銃

天宮こころ選手のド派手な清一色が決まったかと思えば、


河底3pでロン和了

リーチ後のめくり合い、鈴木たろう監督がカウンター。
なんと3面張相手に、残りたった1枚のカン3pで打ち勝ってみせる。


3469m待ちに放銃、終局。

オーラスもリーチ合戦。
今度こそ多面張が実り、天宮こころ選手が8000点を直撃してゲームセット。

他にもラスった監督がいたような?

激闘の末、鈴木たろう監督がラスに沈んだ。
チームゼウスを応援する身としては悔しい結果になったが、
悔しさ以上に見応えが勝ったというのが正直な感想だ。

当然であろう。
真剣勝負の場で、ゼウスとあまみゃがゴリゴリに殴り合う

こんな光景、神域リーグでしか見られない。
面白いに決まっているではないか!

第1節を終えて、ポイント的には明暗がはっきりと2チームずつに分かれた。
ただまだ序盤、正直全く気にする段階ではない。

今度はどんな対局が見られるのだろうか?
次節が早くも待ち遠しい。

それでは、今回はこのへんで。


引用・参考

神域リーグ公式からのお願い↓

神域リーグ本配信 第1節(第1~3試合)アーカイブ↓

Mリーグ 公式サイト↓



↓次回観戦記はこちら


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?