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お遍路から始まる「“歩く”って何だろう」

本投稿は、構想日本のYouTube企画「脱線!どちて雑談」の内容を記事用に加筆修正したものです。ぜひ、YouTubeもご覧ください。

大人のどちて坊や・谷野栄治(クリエイティブディレクター)の疑問に、行動する構想家・加藤秀樹(構想日本代表)が答えてすすむ雑談ラジオの第二回です。

今回は、“歩く“と”考える“がテーマ。

歩くと目覚める“閉じていた感覚”

瞬間、瞬間に集中する“お遍路さんモード“とは?

“歩く”=“考える“→”ひらめき“

体を動かすと頭が頑丈に

2人の雑談は、ポンポンと弾んでいきます。


歩くと目覚める“閉じていた感覚”

□谷野
四国八十八ヶ所巡りというのがありますね。お遍路さんです。2か月くらい毎日歩くんですよね。

■加藤
いっぺん歩いてみたいと思っています。御朱印は、もらわなくてもいいんですけどね。2日や3日歩くのではわからないようですが、2週間、3週間とずっと歩いていると、だんだんと頭のモードが変わってくるという話を聞きますね。

□谷野
頭のモードが変わるというのは、どんな変化なのですか。

■加藤
今の時代でも、お遍路さんでひたすら歩いていると、道を間違えてしまうことがあるようです。山道を歩いて一時間ほどで宿に着くと思っていたら全然着かないとか、夕方になってあっという間に真っ暗になったとかね。歩いているとヘビやイノシシが出てくる。道も雨が降ると滑りやすくなっていて転んだりするのはしょっちゅうある。だから、とにかく歩くことに集中しないと駄目らしいですね。「ガサガサ」っていう音が聞こえると、「わっ!何?」と思ったり、「二股の道だけど、いったいどっちに行けばいいんだろう?」と考えたり、「地図はこうなっているけれど、本当にこれでいいのかな。違う気がする」などもあるそうです。いつもは見ていない、ちょっとした音や雲の動きとかを、本気で見ないと死ぬかもしれないくらい大変なことになる。それらは、どうも普段とは考える中身が違うらしいのです。1週間ぐらい歩いても、なかなかその頭のモードにはならないようです。10日とか2週間、3週間歩き続けて、初めて頭のモードが変わってくる。そうすると、考える中身や感じるものが変わってくるらしいのです。普段閉じていた感覚が開いてきて、逆に普段開いていた都会の生活やスマホを通しての感覚がシャットアウトされるということですね。

□谷野
現代人の日常では、そんなふうに歩くことはないですね。頭のモードが変わると、考えが深まるのでしょうか。

■加藤 
考えが深まるかどうかは、わからないですけどね。生きるか死ぬかといった本来の生き物に関わるところに意識や神経が集中してくるのかなと思います。

瞬間、瞬間に集中する“お遍路さんモード“

□谷野
お遍路さん、つまり「歩く」ということで思い出したのですが、歴史小説を読んでいて気がつくのは、歩くことの効果です。昔の人は、日本各地にいる学問の先生のところに自ら歩いて行って学んでいますね。坂本龍馬が剣術の勉強のために江戸まで行ったり。吉田松陰が九州や東北を巡ったり。先生に教えを乞うために遠路はるばる歩いています。お遍路さんの由来になった空海も、すごく歩いた人ですよね。きっと歩いている間に、頭の中にいろんな着想が生まれ、そして整理されて、自分の考えが固まっていったように感じます。加藤さんがおっしゃった「お遍路さんで頭のモードは変わる」というのと関係がありそうですか。

■加藤
あると思います。私も歩くのは好きで、その時いろいろ感じたり、考えたりしています。鳥が鳴いているとか 「ガサガサ」という音が聞こえるとか、暑くなった、寒くなったとかもそうです。瞬間、瞬間に集中していると思います。とはいってもモードが変わるくらい歩き続けてみたいですね。

□谷野
ホテルに泊まりながらお遍路をするのですか。

■加藤
お遍路宿というのが今もあります。今は民宿もあるのでしょうね。外国の人は、野宿をすることも多いようです。自分で小さなテントを持って行く人もいますが、テントさえ持っていない人もいるとか。お寺によっては通夜堂というのが開放されていて寝袋で寝ているような人もいるようです。

“歩く”=“考える“→”ひらめき“

□ 谷野
私の曽祖父や両親もお遍路さんを経験したんです。スタンプラリーのような御朱印帳と掛け軸が家にあります。旅行と健康づくりを兼ねて行ったのですが、楽しかったようです。実は、僕も歩くことが好きで、何かをふっと思いつくのは、だいたい犬の散歩の時ですね。机で思いつくことはほとんどなくて、犬の散歩の途中で思いついたことを清書しているだけです。そういえば、京都には哲学の道というのがありますし、哲学者のカントも歩いて思索を練ったことで有名ですね。結局、ものを考えるということは、歩くことと同じなのかなと思います。

■加藤
ニュートンが万有引力の法則を発見したのも、リンゴが落ちたからではなく、普段ずっと考えていたところにリンゴが落ちた。その刺激が、「そうか!」と、最後のドアを開けたという感じじゃないのでしょうか。

□谷野
さあ考えよう、と思ったら「犬の散歩に行こう」ってなります。その方が生産的です。ひらめきがふっと出てきます。いいアイデアかどうかは別なのですが、考える切り口は、歩いた方がよく見つかりますね。走ると、全く考えられませんけど(笑)

■加藤
走ることで精一杯(笑)。

体を動かすと頭が頑丈に

□谷野
加藤さんは歩くことは多いですか。

■加藤
割合よく歩く方だと思います。今は、自宅でのオンライン会議が多いので、外に出ない日もありますが、歩く時はイヤホンもスマホもなしです。

□谷野
私は今、山口県の周南市にいるのですが、こちらの人はあまり歩きませんね。東京や大阪では電車通勤で、家から駅まで歩いて、駅から会社までまた歩いて。1日1時間くらいは移動で歩きますね。ところが、こちらでは車で移動する。歩いて5分のコンビニにも車で行くんですよ。皆さん運動不足なんじゃないかなって、ちょっと心配です。
体をよく動かしている人ほど、頭が頑丈な気がします。

□□どちて雑談とは□□
大人のどちて坊や・谷野栄治(クリエイティブディレクター)の疑問に、行動する構想家・加藤秀樹(構想日本代表)が答えてすすむ雑談ラジオ。
アニメ番組『一休さん』に登場する、“どちて(どうして)ですか?”が口癖のキャラクター「どちて坊や」。
その「どちて坊や」の問いかけように、よのなかの出来事に対する”素朴な疑問”から話がはずむ、ゆかいな雑談です。
何が出てくるかわからないガチャガチャみたいなトーク「脱線!どちて雑談」。
脱線こそ雑談の醍醐味。
脱線からうまれる初耳の話を、お楽しみください。
過去の動画はこちら
https://www.youtube.com/playlist?list=PL1kGdP-fDk396uM9C-x2CaPBM8FeOLZdF

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