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食旅脳内メモリーズ

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季刊フリーペーパー@hにて連載。 食旅脳内メモリーズ。
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記事一覧

「食旅脳内メモリーズ」イタリア編

「食旅脳内メモリーズ」イタリア編

函館で出会った友人たちが今は世界のあちこちで暮らしている。できたら全員のとこに会いに行きたい。いつかきっと。イタリアの北西、スイスに程近いピエモンテ州の山の中の小さな町に嫁いだ友人の結婚式に呼んでもらいミラノの空港まで飛んだ。バスに揺られアルプス山麓のドモドッソラという街まで。ピエモンテ州の州都トリノより、山岳鉄道でスイスのロカルノがずっと近いという山の町。そこからさらに北上した友人の住む山の中の

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「食旅脳内メモリーズ」北東北編

「食旅脳内メモリーズ」北東北編

飛行機が離陸する瞬間は日常から解き放たれる格別な瞬間だが、船が港から出発する時もまた、ゆったりとした時を感じながら非日常へ誘われていく味わい深い時だ。

船は函館から津軽海峡へ。

2018年家族四人テント持参で「北東北夏祭り」&「八甲田山・八幡平の山中にある温泉巡り」旅に出かけた。

快晴のフェリーデッキの上で爽やかな風を感じ、晴れやかな心持で旅が始まる。

発祥から数えると300年近い歴史を持

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「食旅脳内メモリーズ」函館編

「食旅脳内メモリーズ」函館編

旅が好きで、特に自分の生まれ育った文化とは異なる文化に触れるのが楽しくて、時間や条件が整えば海外へ足を運んだ。

時が経ち、自分がこれまでに行った国々で感じた、味わった文化を日本のここ函館で、自分というフィルターを通したお店という形でアウトプットし始めた。

観光地である函館にはここ数年確実にグローバルな来訪者が増えていた。

日本全土だけでなく恐らく世界規模で、自由に人や物や情報が飛び交う時代に

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「食旅脳内メモリーズ」モロッコ編

「食旅脳内メモリーズ」モロッコ編

アフリカの北西に位置するモロッコは、南にサハラ砂漠、北はジブラルタル海峡を渡ればスペインに辿り着く。

海峡は大西洋、地中海に通じる。

公用語はアラビア語とベルベル語。

かつてフランス保護領だったためフランス語を話す人たちも多いが、北に向かえばスペイン語を話す人が増える。

英語は通じないことが多かった。

人種も文化も入り混じっていて多様。

ベルベル文化にアラブ文化、アフリカ諸国・スペイン

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「食旅脳内メモリーズ」ネパール編

「食旅脳内メモリーズ」ネパール編



毎日の食卓で食べるごはんもたまらなく好きだが、旅先のシチュエーションでいただくごはんは、新鮮な風景や空気感、心のワクワクと共に味わうことで深い思い出となって五感すべてに刻み込まれる。

旅という状況が調味料やスパイスとなり、食事が身体や記憶に染み入る。
だからそのことを振り返った時、ふわっと幸せな体験として五感を刺激する。

記憶の鮮明さは年と共に失われて行くが、食事をした時のその幸福感は逆に

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「食旅脳内メモリーズ」トルコ編

「食旅脳内メモリーズ」トルコ編

トルコと言えば見所が宝石箱のように詰まったイスタンブールが有名だが、日本の二倍もの面積を有する広いアナトリアの大地には魅力的な地方都市も多い。

自然が作り出した奇岩が美しいカッパドキアでは壺入りケバブを、
夏のバカンスで国内外の人で賑わうエーゲ海沿いのイズミールでは新鮮な魚介料理を、
素敵な民族衣装で踊るダンスで有名な黒海沿いのトラブゾンでは鰯料理を、東側にはノアの箱船が漂着したという謂れがある

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「食旅脳内メモリーズ」ブータン編

「食旅脳内メモリーズ」ブータン編

ヒマラヤ山脈の東端に位置する小国ブータン。

国王と女王の来日でこの国の存在を知った人も多いはず。

GNH(国民総幸福量)という言葉も話題に。

期限の決まったネパール旅行の際、後半の旅先を決めかねポカラの町の旅行代理店に駆け込んだ。

ネパールの西側を旅するか、訪れてみたかったチベットまでフライトするか、そう相談したところ、意外な返事が。

「明日カトゥマンドゥまで戻ればブータンも行けるわよ」

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「食旅脳内メモリーズ」インド編

「食旅脳内メモリーズ」インド編

人生二度目のインド旅は南インド、ケララ州。南国の雰囲気漂うコーチンは気候も暖かく、人々も南国的で緩やか。

道に迷い尋ねれば、見つかるまで案内してくれる親切な人が多く、着いてすぐ緊張は解けた。

かつてスパイス貿易で栄えた港町フォート・コーチンは古くからあるスパイス倉庫などが立ち並び、カフェやアートギャラリーとしてリユースされていた。

ポルトガル・オランダ・イギリス領だった時代の建物も多くインド

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